断片2
世界中の子どもたちが一度に笑ったら、空も笑うだろう、ららら海も笑うだろう。
なんて、子どもの時に歌った歌の歌詞を本当に実現できると思っているのはやはり子どもだからなのだろうか。
大人は夢を見ない生き物。
夢を見るうちは子ども。
18にもなって自分は未成年者とかそういうことではなく、まだまだ子どもなのだろう。
「将来は歌手になりたいって言うのは先生としては素直に応援してあげられないなー」
「歌手になるのは本当に一握りの奴しかなれないとかそんなことを言ったって僕の意思は変わりませんよ」
「まあそれもあるんだけどね」
「確かに夢は叶わないかもしれません。自分の目指していることはただの無謀なのは分かっています。でも、それで諦めたら誰も 何にもなれないんですよ。本当に小さい頃ばかり自由に夢を見させておいて大きくなったら、いつまでも馬鹿なこと言ってるんじゃないのって、じゃあ初めから夢なんか見させるなって話でしょう?僕は歌手になりたいんです」
「まだまだ子どもの考えだけどなかなか立派なこと言うじゃない。先生ちょっとは見直したわ」
「ありがとうございます。先生なら分かってくれると期待していました」
「いや、でも応援はしないよ?私も教師と言う仕事をしているんだから。子どもたちをちゃんと大人にさせてあげることが私たちの義務なの。あなたの言葉で言うなら夢なのよ
「でも、大人は夢を見ない生き物なんですよね?」
「そんなことはないけれどね。まあでも夢を見れる大人は頑張ってるのは当たり前だけど才能も持ち合わせてる人の特権ね」
「難しい話ですね」
「それが大人の世界ってやつよ」
「なるほど」
「だから私は応援しないわ」
「先生のお考えは分かりました。しかし僕も諦めるわけにはいきません」
「ねえ、1つ聞いてもいいかしら?」
「はい
「どうしても歌手になりたいのよね」
「はい」
「あなた自分の音楽の成績見たことある?1よ1、今どき1なんて私久し振りに見たわ。歌手になりたいのなら努力と才能を磨かないと」
「音楽って難しいですよね。自分の気持ちをリズムに乗せて誰かに伝える。生半可なことではありません。自分にはまだまだ難しい道のりです」
「単に音楽のセンスがないからだと私は思うんだけどね。夢だけ見てるゆとり教育ちゃんにはほんと難しい道のりよね」