きみは
きみは冬のとっても寒い日にいなくなりましたね。
それからぼくはずいぶん寂しいおもいをしました。
いくら待ってもきみは帰ってきません。
だからこんなに悲しいんですね。
昔のことだけど。
ぼくには大切な友達がいました。
女の子です。
毎日遊んでいました。
とても楽しかった。
でもきみはいなくなりました。
白い息を吐いたあの日。
転校じゃありません。
病気じゃありません。
一人で消えてしまったんです。
自分でいなくなったのか、
誰かに連れていかれたのか、
わかりません。
皆悲しみました。
彼女は皆に好かれていましたから。
きっとぼくはきみの恋人になりたかったんだろう。
きみの存在が薄れてから気がついたことですが。
後悔しています。
きみの手に触れたかった。
何年も何年も経ってきみがもう帰ってこないことを知ったとき、頭がおかしくなりそうでした。
すぐそばにいたのに。
笑いかけてくれていたのに。
ぼくの心はその日に止まりました。
ずっと昔のことだけど。
きみは冬のとっても寒い日にいなくなりましたね。
ぼくはどんどん年をとっていきます。
いくら待ってもきみは帰ってきません。
だからこんなに悲しいんですね。