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ハートピアスー何も起こらない村に転生しました。ー  作者: ゆうなるな


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第三十話 何も起きない村で

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


大きな事件も、派手な展開もない物語ですが、

この第三十話で、ひとつの区切りを迎えます。


「何も起きない」日々の中で、

少しずつ受け継がれていくもの。

静かに流れる時間。


最後まで、

この村の空気に触れてもらえたら嬉しいです。

朝、村はいつもどおり静かだった。


風が木々を揺らし、川の水は澄んで流れている。


ミツキは針を握り、布を整える。

昨日、外から来た少女も、一緒に布をたたんでいる。

小さな手は、まだぎこちないが、ひとつひとつ丁寧だった。


「ここに来る人も、安心できる服を作る」


ミツキはつぶやく。

少女は、少しだけ笑った。


針を進めていると、隣で小さな音がした。


――ころん。


床に落ちたのは、一本の針。


少女は一瞬、動きを止める。

拾おうとして手を伸ばしかけて、止まった。


ミツキは何も言わず、布から目を離さない。

針の音だけが、静かに続く。


少女は唇を少し噛み、

それから、ゆっくりと床にしゃがんだ。


指先で針を拾い上げ、

ほっとしたように、小さく息を吐く。


机に戻り、布を広げ直す。

今度は、さっきよりも慎重に。


ミツキは、ちらりと横目でそれを見る。

 ――昔の自分も、こんなふうだった。


声をかけられるのを待って、

でも、待たれたことで覚えた。


針はまた、静かに動き出す。

二人分の、少し違う音が重なる。


昼が過ぎ、夕方が近づく。


風が吹き、鳥が鳴く。

カイは隣にいて、少女は少し距離を置くが同じ屋根の下。

リラもギンも、いつも通りの笑顔でいる。


特別な事件もない。

派手な冒険もない。

でも、村の中に確かな時間が流れている。


ミツキは深く息を吸い、微笑んだ。


何も起きない村で、

今日も、何も起きなかった。


でも、それは決して退屈ではない。

誰かの笑顔を見て、針を走らせ、

布に触れる――

それだけで十分だった。


何も起きない村で、

それぞれの役割が、静かに続く。


そして、また新しい一日が始まる。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


この作品は、私にとって処女作です。

小説の書き方も、構成も、

正直なところ、知識も経験もまったくありませんでした。


「とりあえず書いてみよう」

そんな勢いだけで、ここまで書いてきたと思います。


途中で迷ったり、

これでいいのか分からなくなったりすることもありました。

それでも、

登場人物たちの日常を書いている時間は、

不思議と楽しくて、落ち着くものでした。


書くことで、

物語を作ることの楽しさを、

少しだけ分かった気がします。


ここまで付き合ってくださった読者の皆さま、

本当にありがとうございます。


またいつか、

どこかで物語を書くことがあれば、

そのときは、もう少しだけ成長した形で

お会いできたら嬉しいです。


何も起きない村での物語は、

ここでひとまず、幕を下ろします。

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