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聖人:織田信長録  作者: 斎藤 恋
元服後:織田信長

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第26話:三河一向一揆:閉幕

今川と三河との戦いが始まり、一か月が経った。

今川は、三河の領地を確実に取り戻していき、三河の東側を取り戻した頃。

武田の介入が始まった



武田家は、飯田城方面から軍勢を入れ、奥三河の一帯を支配し始めた。

それと同時期、俺たち織田家も三河への介入を始め、

・岡崎城

・岩津城

・土井城

・茶臼山城・・・など諸城を落とした。



竹谷城以東は今川が抑え、北の奥三河は武田が、それ以外の西側一帯が織田家のものとなった。



「結果としては微妙じゃな。」



「そうですね・・・。奥三河は無理でも、三河湾は完全に確保したかったところです」



「流石にそれは欲張りすぎだろう。というか、武田が出てきた以上無理じゃな。」



「そうですね、。しかし、このままでは武田に採掘されてしまうのでは?」



「いや、それならそれでいいと思うがな。大事なのは鉱物そのものであって、誰が採掘するかではないしな。・・・・・、どうせなら武田に提案してみるか」



俺は、この閃きに対して思ったよりいい案なのではないかと考える。



「え?津具鉱山のこと教えるんですか?武田が全部掘り尽くして終わるだけでしょう?」



「普通国境付近の鉱山なんて危なくて仕方ないじゃろう?だが、武田と織田の共同開発ならそれも可能なわけじゃ。」



「いや、それはそうですけれども・・・。今川はどうするんです?」



「今川はいらんだろ?まぁ、武田も信用はできんからな。今川にもいてもらって牽制した方がいいか?」



「あ、いやそういうことじゃないんですが・・。」



「ん?そうなのか?しかし、武田の信用度を考えると、それでも不安だな。どうせなら叩き潰してしまいたいんじゃが・・。」



「武田と国境を接しているなんて、裏で何されるかわかったもんじゃないですよ。」



「渡巫女を草に仕立てて使っているという話もあるしな。タチの悪いことじゃの」



「・・・それって危険じゃないですか?」



渡巫女はこの時代の性風俗の代表でもあり、身分の低い者は渡巫女と致すことも多かった。

また、赤母衣衆は孤児という最低身分出身者もおり、渡巫女とはそこまで縁遠いの存在でもなかった。




「ふむ・・、織田家公営の遊郭でも作るか?」



「悪評を立てられそうですが・・・。どこかの廓の店主でも連れてきましょうか?」



恒興の提案は、新規立ち上げでなく既存の性風俗店を公営のものとして扱うことで、手間を減らせる案であるのだが



「いや、こちらで建ててしまおう。既存の店を使っては、俺たちの要求が通らない可能性もある。それに、これは赤字経営にすべきだろう」



「えっ!いえ、赤字ですか?なぜです?流石に勿体無いでしょう??」



恒興の反応は当然だろう。

どこの誰が金を捨てる目的で風俗店を経営するのか。

普通ならあり得ない提案ではあるのだが・・・



「いやいや、ここを単なる風俗店にするのは、それこそ勿体無いだろう。ウチで作る品などを試していく場にもしたいし、家臣の福利厚生にも使いたいからな」



「???ふくり・・、なんです?」



「福利厚生だ。わかりやすくいうと、家臣たちへの褒美扱いだな。美人な祇女を多数囲い、出産や子供の面倒もこちらでみる。身請けがしたいなら、そのための支援もありだろう。手柄を立てた者に身請けす権利を与えても良いしな。その者と婚姻したいなら、それも援助しても良い」



「え・・・すご・・、いですね・・・。・・っていや、ちょっとお待ちを。その作業を誰がするんですか?待って、本当に待ってください、私?我々でするのですか?!」



「お、おち、落ち着け恒・・!だ、大丈夫、大丈夫だから。(・・・たぶん)」「今ぼそっと何か言いました?」



少しパニックになった恒興を見て、流石に仕事が嵩みすぎだったか・・と、ちょっと可哀想になった

しかし、この案を採択すれば、安定的に人材が確保されることにも繋がるのだ。


採用するにメリットは多い。



「多少、整理して作り替えることもあるとは思うが、こちらでやった方が将来的に楽になるのだぞ?」



「・・・伺いましょう」



恒興は居住まいを正して元の位置に戻る


「まず、これからの織田家に足りないものは、何か?人だ。それも、我々の意思を反映して動く有能な人材が欲しい、だろう?」



「それはそうです。しかし、それと遊郭になんの関係が・・・?」



「遊郭でも子は生まれる。むしろ子を産むことを推奨する遊郭にしていきたいのだ。」



「流石に、それはどうなんでしょう?次から次に子供ができて、遊郭が成り立たぬようにも思いますが・・・?」



「うむ。そういう側面も出てくるだろう。しかしだな、そうして生まれてきた子供を織田家が囲って育て、各地に文官や武官として遣わすのじゃ」



「・・・・。国人衆はいらない、と?」



「むぅ、全ての国人衆がいらぬというわけではないのじゃぞ?しかしな、あまりにもこちらの意を無視して動く輩が多すぎる。主もそう思うじゃろ?己の立場を一旦忘れて考えてみい。それに、だ。別段お主らを放り出すつもりなんてないぞ!むしろ、こちらに従ってくれる者たちは厚遇するつもりじゃ!」



「うぅん・・・、悩みどころではありますね。確かに、そう確かに、こちらの指示を無視して動く面々への苛立ちは大きいです。しかし、領地を織田家に奪われると考えるものは多いのではないですか?」



「文官や武官を派遣すると言っただけでそうなるか?」



「・・・わかりません。正直なところ、私には読めません。半々といったとこではないかと思われますが」



国人衆には領地経営の不得意なものも多い。

歓迎するものもいるだろう。武官の派遣では、国境付近などの戦力的に不安な地域では歓迎されることもあるだろう。

しかし、・・・



「織田家による過干渉を嫌厭するものも多く出るでしょう。」



「最初は選択制にするつもりじゃぞ?己らで必要かどうか選ばせるんじゃ。必要ないものは選ばねばええんじゃ」



「それでも、ですよ若様。言ってくるものはどんなことに対しても言いがかりをつけてきます。」



「なら、ええんじゃな?」



「えぇ。そのような輩は無視して、この案を進めましょう。ですが、やはり子を無制限で産ませるというのは考え直した方がよろしいかと」



「そうかの?」



「えぇ、遊郭として成り立たないと思いますし、そもそも、そのように多くの子供を育てるための施設と教員も足りません。足利学校のようなものを作るようなものなのですよね?」



※足利学校は、日本最古の学び屋である。

ここに通うことは、当時の有識人にとっての箔となったのだ。

ちなみにできた時期は確定していない。だが、閉校は1868年明治元年まで存続している。




「そうだ。教えるないようは礼儀作法から俺たちの扱う電気などについてなど高度なもの最先端のものを混ぜたい。」



「ふむ・・・とすると、管理は我々が行うのですか?」



赤母衣衆が学校経営もさせるのか?えぇ、おい?という強い圧を感じる。


「最初は教員となる者に教えることもあるだろうが、基本としては専門の教員を当てるつもりだ。しかし、実地の者の話も聞かせる機会は多く作っておきたいな」



実地で使えない知識などを学ばせても仕方ない

それが俺の意見である。


「余裕のある時であれば、学問のための学問なども良いのかもしれんが、今の俺たちにそのような余力はないじゃろ?」



「現場で働くものの意見ですか・・。そういった交流はあっても良いでしょうね。どこまで効果があるのかどのようにそれをさせるのかについては未知数ですが。」



「それを決めるのも俺たちだ。ほれ、やるぞ。」



「早速ですか?運営費用はどうするのです?粗銅から金銀を取るのもまだ利益が出るほどではありませんよ?」



「そこはほれ、親父殿に借りればよかろう?義父殿も貸してくれるかもしれんし。」



「いや、借りるってそんな・・。赤字事業なんでしょう?返す宛がないじゃないですか!」



「大丈夫大丈夫。武田対策って言えば、大体の者は納得するさ」



「しませんよ!端金ならともかく、今回のものは巨額になるでしょうが!おい、こら、逃げるなー!!!!」



しかし、この案は実行された。

恒興の予想通り、投資額はなかなかに大きなものとはなった。


しかし、戦国の世に悪名高き武田家と国境を接したということは思いの外影響があったのかもしれない。

だが、それだけが要因でもなく、水野と佐治が完全に織田家の勢力圏で囲い込まれ、かつ、優遇されている現状。

そして、織田家が尾張を統一し、それに嫡男の信長が大きく関与しているという話は、家臣たちの間でそれなりに広まっていた。



また、新たに支配地となった西尾周辺での話もそれに拍車をかけている。

未だ14歳の信長だが、多くの織田家家臣らの評価は高い




─────しかし、納得できない者もまた存在したのだった



「あのような者が織田家の当主となるなど、ありえんわ!」



「幼少のみぎりよりの異常者。いや、妖そのものではないのか?」



「ふんっ!母上も信長兄上を恐れておる。いざとなれば味方となってくれよう」



「「おお〜・・」」


「それはありがたいですな。我らの行動は正に義挙。織田家の未来を思っての行動ですからな。」



織田信勝、林通具、柴田勝家、その他数名



織田信長の織田家継承に強く不満を持つ面々である。

彼らは信長との関わりが薄く、信勝に付き従うことの多いメンバーだった。

そのため、信長の奇行や土田御前から聞く信長の不満話ばかりを聞き入れていた。



彼らの頭には、信長の功績などは微塵もなく、尾張統一は自分たちと織田信秀の手腕だけで達成されたものだと強く信じていたのだった。

織田家の伸長は、こうした影の部分も強く作り出すこととなる

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