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聖人:織田信長録  作者: 斎藤 恋
元服前:吉法師

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第18話:発電機の力③

生駒と千秋は、このまま、織田弾正中家の資材管理役にでもついてもらおう。

正式にはもっとらしい名前を考えないといけないな。



「で、あの方々に物資調達を任せている間はどうなさるんです?」


勝三郎が聞いてきた。



「決まってる。俺たちは先見。要は、今のうちに技術の確立を目指す。」



「技術の、っていうと、なにか新しいものを作り続けるてことですか?」



「そうだな。とりあえず、俺の知識がどこまで正しいのかわからんし、一度は俺たちで作る。

若しくは試す。まぁ、危険なものもあるし、適当な敵か野盗でも調達してくれば良いだろ」



「調達って・・・とんでもない言い方しますね、若様」



「別に間違っちゃおるまい。

それに、民や我らに迷惑しかかけん奴らが、俺たちのために使われてくれるのだ。感謝せねばならん」



「ま、どうせ人質にもできないやつは殺すしかありませんしね。

有効活用ができる分、まだマシですか。」



「その通りだ。ま、とりあえず、今ある分から、やっていこう。」



「で?若様。次は何をするんですか?」



「今できるのが、苛性ソーダを使った石鹸作りと、貝殻の廃棄を使った白粉作りだな」



「かせい、そーだ?ですか?また知らないものが出てきましたね。

それに白粉ですか?確か、今使われている高級品は、毒があるんでしたよね?」



「そうだぞ。よく覚えていたな。」



「当たり前です。あんな怖い話聞かされて忘れるなんてあり得ませんよ」



「そういや、大膳のこと話したんだったか。」



「えぇ。それに、あの大膳の話だけじゃないです。

最近じゃ、甚介の方もかなりおかしくなっていらしいですよ


織田信友が何かしたせいじゃないか、とかもっぱらの噂です」



「ほう?そっちにいったか。」



「えぇ。どうにも、織田信友は坂井がおかしくなっている今、

実権を取り戻そうと躍起になっているようで、そのあたりで、大分争いがあるみたいです。」



「なるほどなぁ・・・。なら、あとは熟すのを待つばかりだな。

適当に、この辺りで斯波も消えてくれれば、1番だよなぁ・・・?」



「はぁ・・また怖いことをおっしゃる。

まぁ、その辺りは、大殿がなんとかなさるでしょう。


それに、まだまだ、斯波が消えるには早いと思いますよ。」



「ん?勝はそう見るか。」



「はい。まだまだ、将軍家の権威は熱いですし、

この辺りだと斯波の影響力は侮れないと見ます。


むしろ、手中に収める方が利用価値があるかと。」



「ま、それもそうか。

しかし、その機に織田の権威も高めなくてはな・・・」



「斯波の権威を、織田の権威としていけばよろしいのです。

どうせなら、あそこの息子に誰か若様の姉妹あたりでも嫁がせれば良いのでは?


そのまま血統ごと取り込んで仕舞えば、織田の権威も上がると思いますが。」



「だな。それは悪くない考えだと思う。

清洲を駆除できれば、あとは犬山くらいだろう。


そうだ。清洲攻めの辺りで、俺とお前、両方とも元服するか?

悪くない機だと思うが。」



「まぁ、その辺りはうちの父と大殿様にご相談いたしましょう」



「なら、明日辺り行ってみるか。」



「はい」



・・・・・・




「・・・しかし、苛性ソーダでしたか。なかなか大変ですね、これは・・・。」



「この塩素ガスがなぁ・・。毒性があるから、部屋の中での作業が難しい。」



「材料が塩水と雷、いえ、電気であるのは、楽で良いんですがね・・。」



「塩素ガスはきっちり使い切らないと、その場に残るからな」



「猛毒、なんですよね?

今は、石灰を使ってますが、そのまま何かに使えないんですか?」



「いや、無理。そもそも持ち運びができん」



「あぁ、気ですものね。いや、ガスという方がいいんでしょうか」



「どっちでもいいが・・、しかし、こういうのはガスっていといた方がいいな。

その方が、危険物だってわかりやすいだろ」



「・・・そうかもしれませんね。

で、この出来上がったものはどう使うんです?」



「苛性ソーダの方は石鹸作りに使う。

塩素ガスと消石灰で作ったのは固体漂白剤だ。」



「ほう、漂白剤ですか?」



「あぁ、まぁ、少量で汚染された水を綺麗にすることもできるし、

和紙や織物の汚れを落とし、白くすることもできる。


ま、湿気があるとダメなんで、保存に気を使うがな」



「湿気・・・?もしかして、それでまたあの毒ガスが出る、と?」



「あぁ、その可能性があるな。

それに木箱や布に入れとくのはダメだ。

陶器でないと保存がきかん。」



「木箱や布はダメ、ですか。なら徳利などに入れて持ち運ぶほかありませんね。

しかし、水を綺麗にするというのは案外使えるかもしれません。


実際の効果はどのくらいなんでしょうね?」



「さてな・・、だがまぁ病気になりにくくするくらいの効果でしかないぞ?

毒や泥を取り除いてくれるようなもんではないからな?」



「あぁ・・・、そうなのですね・・。」



「まぁ、それでも効果はあるんだよ。

俺がみんなに以前話したろう?病のはなし

あの、瘴気をこれで殺せるんだ。


それだけで十分以上に価値があると思うぞ?」




「なるほど・・。なら、神社や寺で保管してもらうのもありかもしれませんね」



「神社や寺?いや、そんなとこで使うのか?確かに使うところはあるだろうけどよ・・・」



「特に神社ですよ。神社の教えは、穢れを祓う、でしたよね?

これを使い、穢れを払った水を使えば神社の周囲からは病が減る。


そうなれば、どうでしょうか?」



「疫病なんかの時には、一気に信仰心が上がりそうだな」



「でしょう?とりあえず、熱田で試してもらっては?」



「おう。使い方なり、色々説明してくるわ。

が、まずはこの苛性ソーダを使って石鹸作ってからだな。一回作れば、あとはお前らだけでもいけるだろ?」



「はい・・・って、俺たち置いていってどうするんですか?今のって1人で行くってことですよね?」



「え?あ、いや、三左衛門には一緒に来てもらうから大丈夫だぞ?」



「・・・・・なら、いいですが。いいですか、1人で行くのだけはやめてくださいね?」



「当たり前だろう・・・。んなことしねぇよ。というか護衛なしなんて怖くてできんわ」



「そこまで怯えられてもなんなんですが・・」



「いや、俺自身の命の価値を知ってるだけだよ。

清洲の連中だけじゃなく、今川の連中だって、俺の命には相応の価値をつけるだろうよ」



「それを承知であるなら構いません。本当に頼みますよ?」



「わあってるわあってる。じゃ、先に苛性ソーダだ。」



「はい」




そうこう話したのち、固体漂白剤を瓶に詰め、

出来上がった苛性ソーダ液に菜種油を入れていき、石鹸を作った。



「結構、時間が掛かりますね。四半刻ほどですかね?」



「そんなもんだろうな・・・。よしっじゃあ、あとはお前に任せた。俺は言ってくるわ」




そう言い残し、俺は熱田へと固体漂白剤を持っていった。

その後の千秋との話し合いで、幾らか試した後、固体漂白剤は社領の水を清めるのに使うと決まった。


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