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聖人:織田信長録  作者: 斎藤 恋
序章:転移前

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第00話:はじまり

異常気象


それがニュースでよく語られるようになってもう何年経つだろう。


ゲリラ豪雨に異常な高気温や低気温。


毎年毎年、夏場には云年前にはここまで暑くなかっただのと、

年配者は言っていた気がする。


それを今や自分が言っているのだから、時間の経つのは本当に早いものである。


そして、たかが人間の行いがここまでの気象変動を引き起こしているのだとは本当に信じ難い。


近年、夏季の気温は平均40℃近い気温で、

かと思うと、冬場には突然今までに経験のないような大雪が降る。


秋の台風ならぬ、冬場の台風もめえずらしく無くなったし、

数年前には、十数年前に映画で見たような台風も来た。




そして、これだ。




「うぅ〜寒」


俺の名は斎藤恋。

先月でついに50代へと歩を進めたおっさんだ。



「寒い・・・本当に寒ぃぃ・・・」


悠長に、地球の未来へと思いを馳せ・・・・ている余裕などどこにもないのに、どうしてこうなったのかと、

思考があちらこちらへと行き来しているのが今の俺だ。



寒くて寒くて仕様がない。


冬山の中パンイチでいても、30年前ならここまで凍えることはないんじゃないかと思いたくなるような寒さである。


しかし


ここは北海道とはいえ自宅の中で


こたつに布団に綿入れにカイロに手袋、

マフラー、断熱シートに電気ストーブなどと、


とりあえず、家にある限りの暖房設備を出してきている。





まぁ、こたつもエアコンも電気ストーブも

発電設備がぶっ壊れているんだから何の役にも立たない訳だが。



一軒家とはいえ、

旧来の太陽光発電設備に風力発電器なんかを取り揃えた、

10年ほど前にエコ住宅として持て囃された家を格安で手に入れ、使っていた訳だが。



そんなもの


家が埋まるほどの大雪の前には、無意味で無価値である。


挙句、

近くの変電所からうちへと繋がる送電線が、

どっかの飲酒運転で突っ込んだ阿呆によって破壊されたわけで。


業者の人が、申し訳ないが何日かかかると言ってきたところだったのだ。


バッテリーもあるし、今週はいい天気だと言っていたから4、5日は大丈夫だろうとか、、、

あの余裕ヅラしていた自分自身の面を打ち抜きたい気分だ。



北海道の冬は寒い。


暖房は基本、付けっぱなしにしていないと、

水道管も凍る寒さなのである。


『暖房費が出る』というのは、本当に必要だから出るのだ。


「金もらえるならお得じゃん、ハハハハハ」とか、

北海道に越してくる前、悠長に考えていた自分が憎らしいことこの上ない。



だが、予報が変わって雪が降るにしても、だ。


ここまで降るのはどうなんだよ!

いくら何でも予想できるわけない。



救助要請はしたが、昨日今日は1000年に一度とも言われるほどの大寒波。


ガスコンロは付くから、家の中でキャンプファイアーでもすれば大丈夫だな、ハハハとか、2時間ほど前は考えたりしていたが、どう考えても無理がある。





俺は今、家の中に閉じ込められてるのだ。


2階建ての一軒家なのに、上から下まで完全に雪に埋まっている状況。


完全な密閉空間。


家は現状、雪で梱包されたような状態なのに、

この中で火を焚け・・・、と?


一酸化炭素中毒で死ぬわ。



最低でも、空気穴を開けねばならんと、必死で奮闘したのが今日の早朝である。


太陽光発電器に、縦型風力発電器。


どっちも、多少の曇り空や嵐程度でも発電できる優れものである。

金かけた甲斐があると言ってもいい。


でもさ、・・・


こんだけの雪に埋もれちゃ何もできんわw w w w

「ゲラゲラゲラ……ふぅ……もう笑うしかねーなwwww………(; ̄◇ ̄)」




まぁ、深夜に起きて、

大雪に気付いて、さらに出られないと知った時には、消防に救急要請したよね。


突然の雪って言ったってさ、ここまで降るなんて思わないじゃん・・・


まして、関西出身の俺には、雪の知識が少ない。


積もるような雪なんて、生涯のうちに数えるほどだぜ?

スキー場以外でそんな経験はない。


いわんや、家が埋まるなんていうのは、完全に想像の埒外である。



あぁ・・

備えあれば嬉しいな(誤字)とは誰が言ったのだったか、、。


この自宅内で、雪山遭難状態の今を乗り越えられたら考えよう。

酸素ボンベ配備するとか、電気なしで雪を溶かせる道具なんかも仕入れとこう。



そうやって色々考えをループさせていた、その時だった。





『『『ドカンっっっ!!!!』』』






家のどこかで、

急に何かが倒れたような音が鳴った。


(こりゃ雪でどこか逝ったかな・・・)


とさらなる絶望に襲われながら、

念の為見に行くかぁと、腰を上げたその時



『『ゴンっ!!』』



自室の扉の向こうで、何かがぶつかる音。



俺が今いるのは1階の自室。

隣には、書斎。

その向こう側にはリビングがある。


リビングには階段があって、2階へと続いているのだが・・


音の発生源は、恐らく隣の書斎である。

書斎というか、図書室のように、本棚が複数置いてある部屋なのだが。


多分、何かで本棚が倒された音が、最初の大きな音だろう。



雪が原因で、と最初には思った。


しかし、うちには2階がある。

2階で何かが起きた様子、というか音もしなかったのに、

いきなり1階の書斎が崩れる・・・?


押し潰されてってことか…?

しかし、だとすりゃ、今いるリビングでも何か異変があるはずだろう。

だが、そんな気配はない。

ミシミシと音なんかもしないし、柱や壁、窓も一応開閉はできる。(雪しかないが)




何かが起きている。




何かはわからないし、予想もつかない。

だがしかし、何かが起きていると思う。


雪で壁が壊れたにしても、

最初の音について説明が付くだけで、2回目のゴンっっていう音には説明がつかない。



第一、一回の壁にだけ、今になって圧力がかかったなんてあり得るか?それとも、誰かが均したのか?


くそっ!誰かがウチの上で重機なんぞ使ってたなら訴えてやるからな!!




『『ガタッ!グチョ……ニチャ……』』



さらに音は続く、何かが倒れる音と共に、何か粘着質なものが動くようなヘドロの上で誰かが歩くような、なんとも言えない音がする。



温度差で縮小や膨張したときの音かとも思ったが、

発生源は、書斎だ。


ノックや、それに類するような音と聞き間違えるはずもない。


『ガチャ』


とりあえず、急いで部屋の鍵を閉める。

こういうとき、様子を見ようと外に出るなんてのは完全に死亡フラグだ。



勘違いなら、勘違いで別に構わない。

雪で書棚が倒れたのを、化け物が現れたと勘違いしたからって大丈夫だ。



だって、この家には俺1人しか居ないんだしな。




何があっても、自分の中のブラックヒストリー(黒歴史)に、

そっとしまっておけばいいだけさ。



しかし鍵だけでは不安だった。

最低限のバリケードは欲しかったので、ベットと本棚をドア前に移動させる。


本当なら、冷蔵庫とか食器棚なんかも積み上げたかったが、流石に無理だ。重い・・。



(寒かったのでちょうどいい運動だ。)

などと、気休めにそんなことを考えながら、バリケードを作っていく。




『・・カリ・・・・ガリガリガリガリガリ・・』


何か、削られるような音が、ドアの向こうから響く。



いる・・・やっぱり何かいる・・・。


大きな猫が爪を研ぐような音にも聞こえる。いや、不安感が生んだ幻聴かもしれない。




だが、音は続いている。

扉の向こう、廊下に何かがいるのは間違いない。


風で、とかそんな自然現象で鳴る音じゃない。

生き物の活動で響く音だ。


ドアを挟んでいるからかもしれないが、息遣いなどは聞こえない。


何なのかはさっぱりわからないし、

そもそも、雪で囲われたこの家にどうやって入ったのかも想像がつかない。


(怖い・・)


恐怖心はある。


しかし、このまま死んでやるものか。

という覚悟も、気が早いかもしれないがある。


しかし、どうにも武器がない・・。


周りにあるのは、携帯にタブレット。こたつに布団。ベットに本棚に本。

PCにマウス・・。そして孫の手(背掻き棒、竹製)。


(ま、孫の手かぁ・・)


ほんのちょっと、先の未来に絶望しつつ。


そのまま、孫の手片手にナニカに対して息を潜めていたのだが、


『『PiPiPiPiPiPiPiPi!!』』


大音量にしすぎた携帯が鳴り響く。



消防からだ、救助についてだろう。



『Pi』



「もしもし、斎藤さんのお電話でよろしかったですか?〇〇消防局の〜ーーです。」



「はい、そうです。救助はすぐに来れそうですか?!」



「大丈夫ですよ。あと、30分ほどでつくかと思います。体調などはどうですか?凍傷などの恐れもあるので手足はしっかり温めるようにしてください。」



「はい、ありがとうございます・・、これでちょっとホッとしました・・・。」



「すぐ向かうのでお待ちくださいね」



「あ!ちょっと待ってください。」「ん?なんでしょうか?」



「家の中にどこかからか何か生き物?みたいなのが入り込んだみたいなんです。」



「生き物・・・ですか?」



「はい。ちょっと・・・いや、かなり怖かったんで見てはいないんですけど、俺以外家には誰にもいないはずで、出入り口も完全に塞がってると思ってたんですが・・・・。」



「えぇ、午前中に連絡いただいたときにも伺っていた状況ですね。しかし、それだけでは詳細がわからないので、とりあえずわかりそうなことだけでも、今教えていただけますか?」



「はい・・。今私は、自宅内の1階にある自室にいます。で、部屋に閉じこもって暖まっていたん『ガンっ!!!』っ!!」



「どうされました?大丈夫ですか?」『ガンガンっ!!!』「なんの音です?斎藤さん、大丈夫ですか?」



「わ、わか、わかりmなせん!わかりません!!何かが、何かが部屋のドアを叩いて!!!」



「と、とりあえず、扉を塞いでください!我々が向かったときには声をかけますので!「は、早く、早く来てください!!!!」だ、大丈夫です、お、落ち着いてください!」



『ゴッシャ!!!!』

ドアの上半分が砕けた。



「うぉ!・・・・・っ!!」



ドアの上が砕かれ、やっとその向こう側が見えることになった。



想像していたのは、虎やクマ。大型の肉食獣だった。



でも、違った。違うかった。

扉の向こうにいたのは、動物園や普通の自然で見るような、見知った生き物じゃなかった。




触手のようなモノがあった。


拳のようなモノがあった。


目のようなモノがあった。


口ようなモノがあった。


気持ち悪い、本当に気持ち悪い姿だった。


人間に、何か触手のある生物を合成して失敗したかのような姿だった。






【殺す/殺されてたまるか】


2つのことを同時に思った。






殺さなければならない。殺されるわけにはいかない。


完全に追い詰められた状況の中、俺が思ったのはそれだった。



何で殺せるのかはわからない

何で傷つけられるのかも、怯ませられるのかもわからない。


手に持ったのは孫の手(背掻き棒)だ。これで戦って、何に勝てると?


一瞬、自分の手に持ったものを見て失笑してしまいそうになる。


だが、これ以外にはせいぜい、辞書かタブレットだ。それか布団。

それでどうしろって?(笑)


だから、即座に覚悟を決めた。


一瞬の邂逅ののちに考えたのが、目を潰そう。だ。


とりあえず、アレには目がある。

潰せば時間稼ぎくらいはできるだろう、と。



化け物の形状は、基本ベースが人間だ。

その頭から触手のようなものがいくつも出ていて、人の手足のようなものもある。


多分、触手の触覚と、人間の目鼻耳が感覚器だろう。


人間が基本ベースなら、視覚さえ潰せば逃げる隙はできるはず。



相手の武器が何かはわからないのが不安要素だが、そんなこと考察してる余裕なんてない。





目を潰した後、化け物を押し除けて逃げる。


それだけだ。





ドアの向こう側から、一瞬止まってこちらを伺っていたが、

すぐに俺を見定めて、砕けたドアから入り込んでくる。


布団でも被せて、火でもつけてやりたいが、

ここは自宅の中だ。


その方が手っ取り早くて楽なのだがそれはできない。


頭の触手部分から徐々に徐々に入り込んでくるが、焦らない。

いろんなものを使って触手を払いのけながら、その時が来るのを待つ。


・・・・・・・・・・・・・・・・


まだ・・・・・まだ・・・・・・・


・・・・・・・・まだか・・・・・


・・・・・・・っ!!




今っ!!!



孫の手とタブレット端末を使って、入り込んできた奴の目玉を潰すっ。



「死ねや!ゴラァ!!!」


#@#$$$$##!!


化け物の頭が潰れるような音と共に、


な・に・か・が・刺・さ・っ・た・よ・う・な・・・・・・・・・・






獣と斎藤は、お互いの血肉を飛び散らせながら倒れ伏した。


獣の触腕の一部は斎藤の心臓に突き刺さり、

斎藤の両腕は獣の頭蓋を潰すとともに、両腕も火事場の馬鹿力のように限界を超えた力を振り絞ったようで、拳が完全に砕けた状態で血肉に埋まっていた。



倒れ伏した身体はお互いに重なり合っていたが、重なり合った部分は次第に融合と崩壊を繰り返すかのように蠢いていく。





10分後。




そこには、


斎藤の身体も、

獣の体も、


一部の肉片や血痕などを残して消え去っていた。

風に吹かれた塵のように。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・


・・・



救助オペレータから斎藤への連絡のおよそ20分後。

救助隊は斎藤家の直上の雪上に到着した。



救助作業そのものは順調に進み、

10分も掛からないうちに救助隊員が斎藤家の中に入ったが、そこに彼はいなかった。



彼からの2度の連絡にあったように、

家の中には2階の窓は開いていたし、出入り口も完全に塞がり、水道も凍っていた。


2階部分は雪に埋まっている以外は、普通の家屋内のようで隊員は気にもしなかった。


しかし、オペレーターからの連絡で彼との2度目の連絡の内容を聞いていたので、救助が必要だとはわかってはいたが、2階から一部屋一部屋、慎重に探して行った。




ーーーー救助隊員



(まるで泥棒だな・・)


隊員たちは、救助活動なのに、なんとも言えない感覚を抱きながら部屋を見て回ったが、

1階部分に入った際、明らかにおかしい様相に緊張を隠せなくなった。



「・・班長・・・、これってなんですかね・・・?」



隊員の1人が、廊下にある粘液?のようなものを指差して聞くが、救急隊員とはいえ、単なる一般人にしか過ぎない班長の彼には、見当もつかなかった。


「・・さぁな。鼻水かなんかだろ、とでも言えりゃいいが、無理があるか・・」


何かの粘液跡が、何かを引きずったかのように廊下を続いている。


隊員たちは、その粘液をなるべく踏まないようにしながらも、5人でまとまって、彼の捜索を続けた。



彼らは、大規模な震災での救助活動の経験もある、

いわばエリートだったが、

そんな彼らでも、化け物のいる家屋内での救助活動なんかの経験は皆無だ。





「何か見つけたら言え」「1人で突っ走るな」「いざってときは全部捨てて逃げろ」





と、救助活動とは思えないような言い方で言われたが、

1階の様子を見るに、確かに、そういった心構えが必要な状況だった。


隊員たちは、1階の様子を見てからすでに帰りたい気持ちで心が溢れていたが、流石にここまで来て何も確認せずに帰れるはずもない。


だが、あくまでも雪で閉じ込められたという連絡で救助に来ているのだ。

化け物退治は自衛隊の管轄じゃないのかと、ちょっと涙目だったが。





リビング、


寝室、


書斎、


トイレ、風呂、


納戸にクローゼット。





寝室とトイレ、風呂、納戸、クローゼットにはなんの痕跡もなかった。


リビングは、お湯を沸かした跡があり、

生活痕が残ってはいたが、斎藤さん含め、生き物は何もいなかった。



ただ、書斎は、本棚が倒れ、

その上には、廊下にあったような何かしらの粘液が這っていた。


一瞬、ほんの下敷きに?とも思ったが、床が見える程度に本が散らばっているだけなので、それはないなと、即座に否定したが。




そして、彼のいたであろう部屋である。




書斎から廊下へと続く粘液跡。


彼の部屋のドアは、上がハンマーで殴られたかのように破壊され、

彼の部屋や廊下には、血痕と肉片、そして書斎や廊下と同じく、粘液が残っていた。


だが彼本人や、彼が争ったと思しき‘ナニカ’はそこにいなかった。


痕跡はそれだけだった。


扉を外し、部屋内部にまで入ってはみたが、12畳程度の一室で窓の外には雪があるだけ。


出入りもドア一つで、他にはない。


こたつの中や、部屋内のバリケード?の下や床なども見ていったが、出入りできるようなん箇所はなかった。


訳のわからない粘液や肉片が飛び散る中、

隊員は捜索を続けたが、


彼は見つからず、彼が出入りした痕跡も、

彼を襲ったと思しき、ナニカがどこから入ってきたのかさえわからなかった。



「これはもう、俺たちの手には負えん・・・」



隊の班長が判断し、本部に自衛隊あたりに連絡を入れるように通告した。


その後、現場は封鎖され、

紆余曲折はあったが、斎藤宅へと実際に自衛隊が入り、現場検証がなされた。


現場に残された肉片や粘液、そして血痕は自衛隊によって採取され、技研などへと持ち込まれることとなったが、


血痕はともかく、それ以外については調査が難航した。


その後の研究で分かったことではあるが、地球上に今までなかった生物の細胞であったためだ。


また、採取された斎藤氏のものと思しき血痕と、

仮称:生物Ωの肉片の一部が反応し、変化を起こしていることも確認された。




研究者の一部は、人類の新たな進化だ!と叫び。


またある研究者は、化け物どもによる侵略ではないかと警告した。




だが、採取された検体は、斎藤氏の家屋内にあった分だけ。


当然ながら数は多くなく、

検体の培養も、一部を残し、ほとんどできなかった。


発見後は、研究者の間で一大ブームとなったが、

40年経った現在では、細々と一部の研究者が続けているだけで、

研究そのものは全く進んでいない。




斎藤氏の状況に戻ろう。


この事件の後、彼は行方不明者リストに名を連ねることとなった。


日本では年間8万人ほどもいる行方不明者ではあるが、

彼ほど特異な状況での失踪も珍しく、オカルト界隈を賑わせることとなった。


当時の救助隊員たちは、状況から見ても、彼が無事ではないだろう思ってはいた。


しかし、現場に残された血液量は多くなく、


また、転がっていた肉片なども、彼のものではない未知のものであったことから、すぐには彼の死亡判定は出なかった。(死亡認定は7年後)



彼の身については、

「化け物に食われた」

「化け物になって夜な夜な徘徊している」

「異世界に飛ばされた」

などなど、さまざまな俗説が飛び交うことになった。







・・・


・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・・・・

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