人類は退化しているのではないか?
◇進化の定義
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は人類は進化しているのか? 退化しているのか? それについて個人的な見解を述べていこうと思います。
質問者:
そういう言い方となると、筆者さんは進化していると考えていないという事ですか……。
筆者:
まず「進化」の定義について考えていきたいと思います。
人類はこれまで、知能の発達、道具や言語や文字の使用、文化の継承といった特徴を獲得・発展させて他の生物を「飼育」したりするなど圧倒的に優位な地位を築き上げてきました。
しかし、近年はどうでしょうか?
対生物との地位は変わらずテクノロジーは急速に進化していますが、一方で電話番号を覚えられなくなったり、移動手段が増えることで体力が衰えたり「生活習慣病」を患ったりしています。
かつては、口伝での伝承が伝わったりして記憶力も抜群でしたし、
「お伊勢参り」のために東海道を一般人が何十日も歩いて行きましたが、今はそんな記憶力や気力がある方は少ないのではないでしょうか?
(勿論トッププロに関しては、栄養状態の向上や特別な訓練を受けているために現代人の方が上回っていると思いますけど)
質問者:
でも、確かに記憶力や運動能力は昔の方と比べて劣っているかもしれませんけど、
それは「あまり必要なくなったから」と言う事は考えられませんか?
例えば自然の食べ物を狩猟採集をしていた時代では体力がある人類しか生きられないのに対し、現代では機械などが発達し必ずしも身体が強い必要性が無くなったんです。
それはある種の進化、と捉えることはできませんか? 人間は火や道具を使うことで他の生物と比べて優位に立つことが出来たのですから、必ずしも肢体だけでは無く、道具を含めた上で評価する必要があると思うのですが。
筆者:
つまり、質問者さんは今の人類は文化的に成熟し、代用するツールができたために記憶力や体力が昔よりも必要なくなったのではないか? ツールなども含めた上で進化しているかどうか評価するべきではないか? と言う事をおっしゃりたいわけですね?
質問者:
その解釈で問題無いです。
特に心身の弱い方の淘汰されなくなってきていることは人類の進化の証なのではないかと私は思います。
◇レギュレーションが変わった
筆者:
確かに腕力が強い者が弱い者を虐げない社会になっているという意味では自然界の淘汰は起きていないと言えますし、ある意味進化なのかもしれません。
ただ、資本主義経済になった1800年代以降においては「レギュレーションが変わった」のではないか? と言うのが僕の感覚としてはあります。
質問者:
え……一体どういうレギュレーションに代わったんですか?
筆者:
今現在、この資本主義経済の世界を支配しているのはズバリ「経済力」です。
昨今少子化が深刻な問題となっています。
日本の出生数は2014年に100万人を切ってから23年には75万人を割りました。
90年に125万人を割ってから24年で25万人減少したのでここ最近は加速度的です。
特に、高齢者の割合が維持され、生産年齢人口と年少人口が減っている日本の人口減少の様相は未来が感じられません。
小泉進次郎氏は「元気な6000万人」なら良いとか言っていますけど、「ほとんど高齢者」と「疲れ切った生産年齢」という様相になっていることでしょう。
しかし、就業構造基本調査(最新2022年)によりますと30代男性の場合、所得が低いほど未婚率が高くなっています。所得が低くなるほど未婚率が上がり、年収800万円以上で17.3%、600万~700万円台で21.4%であるのに対し、200万円台で64.7%、100万円台で76.3%となっています。
つまり、「腕力が強い者」から「経済的強者」に淘汰する側の人間が変わっただけに過ぎないのです。
質問者:
筆者さんは日頃、出生率を上げるためには子供1人あたり2000万円ぐらい成人するまでに給付しないとインセンティブにならないとおっしゃっていますからね……。
筆者:
現代社会は「社会制度や経済力による遺伝子選別システム」になっていると言えます。
ただ、「経済的強者」は「努力で勝ち得た」と思っている方も多いので中々この状況を自主的には覆そうとは思っていないでしょうね。
しかも「血を流さない淘汰」なので中々構造が見えにくいと思いますからね。
このような様相は必ずしも文化的に成熟したことや「人類の進化の証」にはあたらないと考えます。
体の弱さはかつては致命的な弱点でしたが、今はお金持ちであれば比較的楽に解消できてしまう事になってしまったわけですからね。
質問者:
な、なるほど……。
◇「経済的強者と利権」を前に「人類全体」が沈む可能性も……。
筆者:
現状、人間が「温暖化は温室効果ガスが原因だ!」とか言いながら「太陽光パネルを敷き詰めよう!」と山の木を切り崩したりするカオスなことをしています。
綺麗な建前や社会問題を解決するフリをしながら自ら我田引水をやり続けているのです。
更に「二代目」が更に財産や権力を増やしていくような「見えない階級社会」を作り出しています。
このように、経済的強者はより金や権力を増強させ、それ以外は馬車馬や奴隷のように働かせ結婚や子育てをできなくさせているのです。
質問者:
そうやって言語化されると今の社会は恐ろしい社会ですね……。
でも思ったんですけど、馬車馬のように働く人間って結婚できないわけですから、数も減っていきますよね?
そうなると、お金持ちの人たちも困るのではありませんか?
筆者:
確かに、「奴隷」がい無くなれば搾取する相手方がいなくなるということで収入が減ることはあるかもしれません。
しかし、「本当の金持ち」は持っているお金の桁が違いますからね。ロボットなどが発達して人間に置き換えると言ったことを画策しているでしょうから欠員が出て困るとは思っていない筈です。
ただ、人類そのものの減少は避けられませんね。
議論の最初の方で出ました、「道具も含めて進化」と考えるとロボットも含まれるかもしれないので進化かもしれませんけど、人間がロボットに置き換わることが種族としての発展と言えるかどうかは謎ですね。
質問者:
お金持ちの方々は「広義の意味での進化」を狙っているという事ですか……。
◇人類は「自然界」に淘汰される可能性
筆者:
僕はこの状況を打開する可能性として2つあると思っています。
一つ目は「自然界」に飲み込まれるという事です。経済的強者を野放図にすればするほど、地球環境や生物多様性は更に破壊されていくことでしょう。
特に一番世界を汚しているアメリカと中国が好き勝手やって規制とか無縁ですからね。
恐らくはそのバックについている人たちも好き勝手やりたいので彼らに批判がいかないようにしているんでしょうけどね。
経済的強者は月や火星など「宇宙に逃げる」ことを画策しているようですが、どう考えても今現在の地球環境を守ることの方が効率的であると考えます。
質問者:
どの星も地球で言う「砂漠状態」にしか見えませんからね……。
筆者:
経済的強者が危機感を覚えた時に初めてこの状況が打開される可能性があると思います。
ただし、現在のグローバル化によって強者であればあるほど移動も容易く、情報化社会になってはいますが、彼らに批判が行きにくいようなシステムも構築されています。
経済力がある者が行き場を失うぐらい追い詰められる段階にならないと、この状況の改善は厳しい可能性がありますね。
質問者:
えぇ~。そんな事ってあり得るんですか?
筆者:
凄く地道ではありますが、選挙に行ってロクでもない方の政治家を落選させたり、利権構造を指摘したり、そう言ったことを積み重ねていくしか無いですね。
何せ経済的強者はマスコミなどの言論空間を握っていますから、なるべく自分の不利になることは拡散させたくない筈ですからね。
急激に変化させることは難しいんじゃないかと思いますよ。
それでも「社会圧」以外で経済的強者は退場させられないと思います。
質問者:
過酷そうですね……。
話は最初に戻りますけど、人類は進化しているんですか? 退化しているんですか?
筆者:
こればかりは皆さんの感覚次第と言う感じもしますけどね……。
質問者:
えぇ~! ここまで問題提起したのにそりゃないですよ……。
筆者:
敢えて結論を申し上げるとするのなら、
僕が思うに今は「進化の途上」又は「滅亡の途上」の分岐点とも言える位置にいるんじゃないかと思います。
環境との調和を技術や世界の経済的強者との対話によって良い方向に実現させた時に限って、「人類は生き延びて進化した」という極めて危ない状況にあると言えます。
ただし、環境の問題については今日や明日に世界が滅ぶ感じもしませんので、切迫感がちょっと薄いです。せいぜい暑くなったなとか、山が太陽光パネルで敷き詰められてるなとか……それぐらいですからね。
でもそう言った小さい積み重ねが人類滅亡という大きな破滅に少しずつ繋がっているような気がします。
なるべく良い世界になれるよう願いながらこれからも政治経済やこういう哲学的な考察も行っていきたいと思いますのでどうぞご覧ください。