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三態の水  作者: からし
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外伝③ 「美波の視点」

──残された者の記憶


町が崩れ、雪がすべてを覆い尽くした後も、

私はここにいた。


記憶の氷に閉じ込められた人々の声が、静かに響いていた。

誰かが遠くで呼ぶ。

誰かが泣いている。


私は彼らの声を集め、風に乗せて伝え続けた。

忘れられた者たちの願いを、少しでも届くように。


この町はもう、形を持たない。

しかし、ここにある“記憶”だけは消えない。


私はもう一度、あなたたちに伝えたい。


「忘れないで」


それが、残された者の唯一の使命だった。


――終わり。

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