9/9
外伝③ 「美波の視点」
──残された者の記憶
町が崩れ、雪がすべてを覆い尽くした後も、
私はここにいた。
記憶の氷に閉じ込められた人々の声が、静かに響いていた。
誰かが遠くで呼ぶ。
誰かが泣いている。
私は彼らの声を集め、風に乗せて伝え続けた。
忘れられた者たちの願いを、少しでも届くように。
この町はもう、形を持たない。
しかし、ここにある“記憶”だけは消えない。
私はもう一度、あなたたちに伝えたい。
「忘れないで」
それが、残された者の唯一の使命だった。
――終わり。
『三態の水』を読んで頂きありがとうございます!
感想や応援、フォローしてもらえると励みになり嬉しいです!
これからもよろしくお願いします‼