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何のこっちゃ

背景は覚えてとかなくて大丈夫です。

早い話が世界大戦だ。

民族・思想が絡み合った陣取り合戦を損得勘定が囃し立て、殺し殺され、報復の連鎖でついに出口を縫って塞ぐ。縫合された絶望である。


そんな絶望に魔法という色を付けたものが、この世界の現状だ。



アリシアの言うことを端的にまとめれば、世界情勢は今、二大勢力による対立関係にあるらしい。

世界の約3割を領土とするモラド連邦とその他実効支配下の周辺20ヶ国ならびに連邦同盟2ヶ国による大規模な世界侵攻に対抗して、デンバート連合が存在する。

そこはサグラダ法国とオムサッド共和国、そして彼女が籍を持つハイダラヤ王国の三国を常任理事とし、そこへ他40ヶ国を加えた組織だと言う。


その他にも中立国・非干渉国などは多数あるが、話を聞く限り、試験に出るのはこの2勢力が主になるだろう。


「どれくらいから争いは続いてるんだ?」

「連合の設立からは、もう30年以上になるわ。発端を考えたら100年以上も前から…。それがここ数年で大きく変わったの」

というのも2年前、連合軍は敵の中枢まで迫ったが、土壇場でモラドは戦局の決め手に“悪魔”の手を借りた。

悪魔は人の中に入り込み、誘惑してその者の魔力を強く狂わす。不安定に高められた連邦兵は国際法を無視し、兵民問わない侵攻を始めることなる。


更には、手懐けることは困難とされていた魔物を容易く使役し、優勢だった連合の戦線を押し返すと、戦局は一転し、いち早く悪魔を封印するための戦いとなってしまった。


そんな中でハークという1人の青年に大きな役割を担うこととなった。

彼は連邦によって殺された古代魔術研究者の父から、悪魔の封印術を記した青写真を託された。世界を、自由を守るため、連合が運営するキャラバンに乗り込み、サグラダの姫マリナルと共に仲間を集め、モラドが解き放った三体の悪魔を封印するという大冒険。

まぁ、いわゆる勇者たちのRPGだ。

ちなみに話を聞く限りアリシアは頼れるお姉さんポジだろう。


そして今、冒険は最終局面を迎えている。


……。

何のこっちゃ分からん。何言ってんだこいつ。

「なるほど…そんな事情があったのか。で終局ってのはどういったことを指すんだ?」

「三体の悪魔の封印のことよ。他の2人はすでに閉じ込めて、残すは最後の悪魔ヴェルザンディを封印するだけ」

「そもそも封印しなかったらどうなるんだ?」

「モラドに支配されるのよ。永遠にね」

「それはダメなのか?」

「…はぁ?ダメに決まってるじゃないのよ」

少し前からタメ語に移り変わっていたアリシアさんは、この門外漢のために呆れ声で最悪なシナリオを話してくださいました。


連邦支配下に置かれた場合、連合諸国は直ちに奴隷となって強制労働を強いられる。全ての財産が奪われ、反抗心を削ぐためにあらゆる文化が蹂躙されてしまう。

そして更に追い打ちをかけるのが悪魔の存在だ。何故手を貸したのか、その意図は完全には分からないが、悪魔ヴェルザンディは“ノルニル”という完全体になろうとしており、それが完遂するとこの世界のすべての事象は悪魔の機嫌によって決定づけられる。というのも“運命”を司る存在なんだとか。

とても信じられない話だが、悪魔>モラド派>敗戦奴隷という絶対カーストを生み出す、そんな最悪の儀式を完遂する前に封印しなければならないということだ。

RPG からシム系のシュミレーションに変わるイメージだろうな。



ここまででざっと2時間弱聞かせてもらったが、なんともヒリヒリする物語だ。重版出来待ったなし。

……ただそれらが本当に物語ならな。

おそらく、このベールとやらをめくれば、今話してもらったことの全てが俺にとってもリアルとなって襲いかかる。

今ここで文字通り胡座を描く俺に何ができる?

このエネルギーをどう出力して、お前に加担してやればいいのか、さっぱり分からない。


分からないが、是非は既に決まっている。

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