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許嫁ガチャは⭐︎5だらけ  作者: 我妻 ベルリ
第五章 秘密のさくら吹雪編
66/75

第65話 思い出しましたか?

 3月14日。

 スマホの目覚ましが部屋に鳴り響き、俺は思い瞼を開けながらスマホに手を伸ばす。

 春休みも中盤。桜もゆっくりと散り始めていた。

 リビングに向かうと、一華と四羽と五花がこたつでくつろいでいた。

 二奈と三和は部活なのか、部屋に居ない。

 

 「あ、おはよーっす。そろそろ引越しの準備しなきゃっすよね?」

 「そんなすぐに出て行っちゃうの?」

 「物を整理しなきゃですしね。五花が一番荷物多いでしょ?」

 「えへへ、バレた」


 会話は引越しの話だ。俺は特に荷物もそんなに無いから来週くらいには先輩の家に行こうと思っているが、5人は自分の家に帰るだけ。荷物をまとめればすぐに帰れる。

 俺は顔を洗った後、昨日買ったお菓子を一華と四羽に渡す。


 「え?これって…」

 「ホワイトデーって事っすか!ありがとうっす!」

 「あなたの事だからすっかり忘れてると思いましたよ」

 「っ!そ、そんな訳ないだろ!あははは………」


 その言葉に動揺してしまったが、幸い二人にはバレていない。

 しかし、五花にはわかったのか、こちらにニヤリと微笑みかけてくる。まるで小悪魔だ。


 「本当は忘れてたんじゃ無いの〜?」

 「なっ!こいつ…」


 小悪魔と言うより悪魔だ。こたつに肘をついて笑いながら五花は昨日の事をチラつかせる。

 だが、話の方向は違う方向に進んでいく。


 「そういえば五花のお菓子は?どこっすか?」

 「へぇ?」

 「確かに…真?五花にはもう渡したんですか?」

 「そ、それは…ま、まだだよね?マコトっ…」

 「いや?渡したぞ?昨日」

 

 俺は五花にし返すように笑ってみせる。

 一瞬俺に怒ったような表情をみせる五花だったが、すぐに一華と四羽の質問攻めに会う。


 「昨日ってどう言う事?五花?何か隠してなぁい?」

 「五花ちゃ〜ん?洗いざらい話してもらうっすよ?」

 「マ、マコトっち!た、助けて〜!」

 「じゃあ、俺はちょっと出かけるから〜」


 五花を生贄にして、俺は友達に会いに出かけた。昨日の夜にメールで会う約束をしていたのだ。

 

 ○ ○ ○


 「お待たせー!待った?」

 「いや?今来たところだよ。それじゃあ行こっか」


 ありふれた決まり文句を吐いて俺は飯塚さんとカフェへと向かった。

 店内は人は居るものの、席には空きがあったので奥のゆったりとしたソファ席に座る事にした。それぞれ飲み物とケーキを一つずつ買って、程よい弾力のソファに腰掛ける。


 「それで?何で急に呼び出したの?」


 カフェモカを飲みながら飯塚さんは呼び出した理由を尋ねてくる。


 「実は…飯塚さんにしか相談できないことがあって…」

 「え?なになに?どんな相談?」


 興味をしました飯塚さんは身を乗り出し、顔を近づける。近すぎる。

 そんな飯塚さんの顔に昨日買ったお菓子を目の前に出す。


 「え?なにこれ」

 「相談は嘘。これを渡すために呼んだんだ」


 お菓子を受け取った飯塚さんは驚きと嬉しさを合わせたような表情をしていた。


 「え?わざわざこれを渡すために?始業式でも良かったのに?」

 「迷惑だった?今日のうちに渡したかったし、久しぶりに話したかったんだけど」

 「なんだか…凄い行動だね。でも、すっごく嬉しいよ!クラスの男子でもここまで紳士的な男子いないもん!大事にするね!」

 「いや食べてくれ」


 その後はケーキとコーヒーを飲みながら春休みの出来事を話し合った。


 ○ ○ ○


 カフェで飯塚さんと別れ、引越し先で必要になりそうな物を探そうと雑貨屋に向かうと、後藤と出会した。


 「あ、先輩!こんな所で会うなんて偶然ですね!久しぶりじゃないですか?」

 「そうだな。ちょうどいい所で会えたよ。はいこれ」


 俺は鞄から昨日のお菓子を後藤に渡した。もしも、に備えていてよかった。


 「え?私に?なんか…先輩って凄いですね」

 「さっきまでそんなこと言われたな…」

 「それに、これって…」

 「甘いの苦手でしょ?だから、甘くないお菓子にしたんだけど…」

 「え?なんでわかっ……あ〜そんな事わかるってことは、先輩は5人のうち、誰が中学の時に会ったことのある女の子か…わかったんですか?」


 いつか聞こうとは思っていたが、相手から聞いてくるとは思わなかった。

 正直…結構前から目星はついていた。確証を掴む為に色々と観察して来たが、もう答えは出ている。


 「ああ。わかったよ」

 「え?本当ですか?ち、ちなみに誰ですか?」


 俺はその人の名前となぜそう思ったのかを後藤に説明した。後藤が俺に近づいた理由も全て。

 説明し終わった所で後藤は頭をかきながら少しだけ笑った。


 「あはは…凄いですね先輩。探偵さんみたいです。そうですよ。先輩の説明の通りです。甘いチョコが嫌いなのとかなんでわかるんですか?…多分、まだ学校だと思うので迎えに行ってみたらどうですか?」


 俺は後藤の言う通りにする事にした。

 後藤と別れ、学校へと向かう。お菓子とマシュマロを持って。


 ○ ○ ○


 午後7時。

 陽は沈み、空は夜に染まりつつある。

 学校の校門で待っていると、彼女がやって来た。

 

 「あれ?先輩?何で学校に?」

 「出かけてたんだけど、いい時間になったし二奈と一緒に帰ろうと思って」

 「め、珍しいですね。じゃあ帰りましょっか」


 二人はマンションに向かって歩き出した。

 皆んなはもう家だろうか。三和は今日練習試合で隣町の学校に行っていた。

 二人きりになれる場所はもう無い。俺は隣を歩く二奈にゆっくりと話し始めた。


 「そう言えば、さっき後藤会ったんだ」

 「ご、後藤?」

 「後藤八重(ごとうやえ)、知らない?同じ学校だけど」

 「ちょっと…わかんないです」


 少しの間沈黙が流れる。聞きたいことは聞けたので、俺は答え合わせをする事にした。


 「そう言えば、はい。これホワイトデーのお返し」

 「あ、ありがとう……ございます…」


 俺の手にはお菓子の箱とマシュマロの小さな袋が握られていた。その意味に気がついたのか、二奈は言葉を詰まらせる。


 「後藤を知らないのも嘘だよね?二奈は1年3組。後藤と同じクラスなのに知らないのは無理がある。それに、二奈がくれたバレンタインチョコ。後藤と同じラッピングがされてた。あのラッピングは近くのショッピングモールのものだ。2人で買いに行ったんでしょ?」


 二奈は何も言わない。俯きながら隣を歩く。


 「破られた写真。あれは二奈の物だったんだね。ショッピングモールの更衣室も。後藤を差し向けたのも…。中学時代に会ったことがあるのは…二奈だよね」


 二奈は立ち止まってこちらに向き直る。

 少し涙を溜めた目で俺に微笑みかける二奈は、ふぅと息を吐いた後、口を開いた。


 「思い出しましたか?先輩」


 我妻ベルリです。高校卒業まであと数週間!青春できる時間も、あとちょっとなのに一日中小説書いてます…。

 ここまで読んでいただき本当ありがとうございます!

 今回でやっと二奈だと判明しました!皆様はわかりましたか?色々と伏線は張ってみたんですけどね…。28話の、真の意外な一面を知った5人の反応。二奈だけ驚いていなかった!とか、ショッピングモールほラッピングの話とか。初めて後藤さんと出会った時、後藤さんはコーヒーを飲んでましたよね?甘いの苦手なんです。…わかりづらかったかもしれないですね( ; ; )

 物語も折り返し!次回から真は三年生へ!

 これからも応援よろしくお願いします!他にも作品上げてるので、読んでみてください!

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