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許嫁ガチャは⭐︎5だらけ  作者: 我妻 ベルリ
第三章 激戦!運命の紅葉狩り編
42/75

第41話 紅葉狩り〜恋に飛び降りる〜

 「…真、見てこれ。ハンドクリームなんだけど八ツ橋の匂いだって」

 「なんか甘そうだな…」


 夕焼けに染まる産寧坂を2人で、気になる店を片っ端から回って行く。八ツ橋を買ったり、お揃いのキーホルダーを買ったりして歩く。

 横を歩く三和はさっきからずっと楽しそうだ。髪は照らされて艷がかっており、俺より高い身長と整った顔立ちは、まるでファッション雑誌の表紙を飾るトップモデルの様だった。そんな姿を見つめていると、三和がこちらに気がつきぽっと顔を赤らめる。


 「…な、何?…ちょっとはしゃぎ過ぎかな?」

 「いや、そんな事ないよ。せっかくの修学旅行だしもっと楽しんで良いんじゃないか?」

 「…そうだね、うん!そうする!」


 三和の柔らかい笑顔が咲く。桃色に染まった頬といつもは見せないその顔を見るだけで、こっちも顔が熱ってくる。

 

 2人がデートをしているところを物陰からじっと3人が見つめていた。


 「ちょっと!近づきすぎじゃないっすか!?」

 「一華!声が大きいです!もっと静かに!」

 「ねぇ…2人ともうるさいよ?」


 一華と四羽と五花は、2人のデート姿をそっと見守る。少し前の事…。


 ○ ○ ○


 「ちょっとそこのお姉さん、私達とお茶しないっすかー?」

 「え!?一華…なんでここに…?」

 「あはは…ちょっと良いですか?」


 トイレから出てきた五花を、待ち伏せていた一華と四羽が捕まえる。困惑した五花に事の経緯を説明する。


 「はぁ…幸せな時間も、もう終わりって事か〜」

 「そう言う事っす。五花…その…ごめん。五花を利用としてた。本当にごめん」

 「私も自分の事しか考えてませんでした。ごめんなさい」

 「………私も人の事言えないよ。こんな事してごめん。…独り占めしようとしてごめん。本当に…ごめんね…。」


 五花は頭を下げて暗い表情をしている。顔を上げると2人と目があってくすっと笑い合う。初めてぶつかり合った気がする。なんだか、深い関係になれた気がして少し嬉しかった。

 

 「それで?私達はこの後何をするの?」

 「それは…あの2人を二人きりにさせてあげませんか?ここまで振り回してしまったんです。三和も楽しんで欲しいんです」

 「清水寺は三和に行ってもらいたいんす。これ以上はダメなんすよ。五花もわかるっすよね」


 私は小さく顔を縦に振る。真がとられるのは、なんか嫌だ。でも、それは大切な人を傷つけてまでやる事じゃない。

 それに、修学旅行のジンクスは所詮噂話だ。告白されても、その2人がくっつくとは決まってない。

 でも………。やっぱり、心の隅でもやもやとした感情が(うごめ)く。


 「わかった。今日は、2人を応援するよ。罪滅ぼしさせてほしいしね」


 ○ ○ ○


 こうして、2人のデートを見守る事にした。

 けど、提案した2人が1番うるさい。

 うるさい2人を宥めながら2人の後を追って行く。産寧坂を抜けて、清水寺に向かって行った。これで良いのに。これで良いのに、心がぐっと握られた様に苦しくなる。


 「…真、清水寺って来たことあるの?」

 「あ〜あ。どうだったからな。でも、うっすらと来たような記憶があるんだよな。あれは…小学生だったか?あんまり覚えてないんだ。」

 「…小学校でも修学旅行行ったのかな?…私は初めてなんだ。…ずっと来たかったの」


 石段を話しながらゆっくりと登って行く。階段を上がった先に見えた景色は、金と朱色に染まった世界だった。全ての葉が鮮やかに染まっており、その葉を夕焼けが照らして更に輝かせる。

 目の前に広がる美しい景色に2人は言葉を失う程にその景色に見入る。


 「す、凄いな。こんなに綺麗だなんて……」

 「…うん。…想像以上だったね…」


 彼の横顔を見る。夕焼けで半分照らされ、こちら側からでは影で暗くなった横顔しか見れない。

 でも、その横顔は、この紅葉の景色よりも目を奪われるものだった。彼の目は真っ直ぐで、目の中には紅葉が映り込んでいる。私は、彼の目の中にある紅葉を眺める。

 段々周りの観光客の騒がしい声よりも、自分の心臓の音の方が大きくなる。

 どくんと脈打つたびに、彼しか見えなくなる。恋は盲目と言うがまさにその通りだ。既に紅葉はどうでも良くなっていた。

 「清水の舞台から飛び降りる」と言う言葉がある。思い切った決断をすると言う意味があるらしい。既に私は落ちてしまっているんだ。


 「…真、話があるんだけど………」


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