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許嫁ガチャは⭐︎5だらけ  作者: 我妻 ベルリ
第三章 激戦!運命の紅葉狩り編
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第35話 紅葉狩り〜作戦会議〜

 午後5時過ぎ、奈良公園を後にして電車に乗って泊まるホテルに向かう。車内は意外と空いていて座ることができた。皆んな疲れていたのか、座った瞬間にすぐに寝てしまった。

 車内は学校帰りの高校生やサラリーマンがスマホを覗いて俯いており、静かでゆったりとした時間が流れている。


 「皆んな寝てしまいましたね?」

 「まあ、あんなにはしゃいでたら寝ちまうだろ。四羽も寝ていいんだぞ?置いていかないから」

 「私は大丈夫です。不思議と眠く無いので」


 隣に座っている四羽は、横に座って寝ている一華と五花と三和に目をやる。3人は互いに肩に寄りかかり合ってバランスを保っている。その姿を見てくすっと2人で静かに笑った後、バレない様に写真を撮る。

 修学旅行初日は、トラブルはあったものの、そのお陰で楽しいスタートを切ることが出来た。これもみんなのお陰だ。


 「楽しかったな」

 「何を言ってるんですか?修学旅行は始まったばかりですよ?明日が1番楽しいんですから!」

 「そ、そうだな。明日は班行動だもんな」


 明日は京都市内を自由に回ることができる。この日の為に皆んなは様々な計画を立ててきた。


 「ま、真はどこを回るの?」

 「俺は…金閣寺に行って、枯山水を見に行った後に伏見稲荷神社に行くな。その後は…色々お店を見て回って、産寧坂を散策した後に清水寺かな」

 「へぇー…そうなんだね!」


 白猫さんが言っていた通りだ。それに、南条さんが私達が送り込んだスパイだとは思ってないみたい。スマホに送られてきたスケジュールに違いがないことを確認して安心する。


 「どうかしたのか?」

 「い、いや!?な、なんか私も疲れてきました!少し休みますね?」

 「あ、ああ。おやすみ…」


 四羽の反応に少し違和感を持ちながら電車の揺れに身を委ねる。


 ○ ○ ○


 電車を降りた後、無事にホテルに着くことができた。先生にはもう一度説明して全員が無事である事を伝えた。

 さすが百花学園。泊まるホテルも一流のホテルで、ロビーには巨大なシャンデリアが煌びやかに光り輝いている。ホテルスタッフは、目が合うだけで「おかえりなさいませ」と頭を下げて挨拶をしてくれる。先生に部屋の鍵を渡されてそれぞれの部屋に向かう。


 「あ、おかえりなさい四羽さん。災難でしたね、大変だったでしょう?」

 「そんなこと無かったですよ?自由に回れて楽しかったです」

 「それなら良かったです。あ、こちら隣のクラスの班の方々ですわ。さっき仲良くなったんですの!」

 「ど、どうも…」

 「会長と副会長が同じ部屋って…なんか緊張しちゃうよね」


 一部屋4人。違うクラスの女子2人は私たちを見るや否や、緊張した様子でお互いを見合っている。


 「大丈夫ですよ。初めまして蘭四羽です。よろしくお願いしますね!」

 「は、はい!こちらこそ!」

 「なんか…蘭さんって意外と女の子っぽいんですね?」

 「え?」

 「わかる!なんかいつもはお堅い感じだったけど、今はなんか普通の女の子だね」

 「…そ、そうでしょうか?」


 私は皆んなからそんな風に見られていたなんて。私は意外と怖がられていたの…?


 「そうなんです!四羽さんは乙女なんですよ?門川真くんの事が大好きなオ・ト・メなんですよ?」

 「ちょっと!?な、何言ってるの白猫さん!!」


 白猫さんの悪戯に顔が熱ってくる。不意に全校生徒の前で行ったスピーチの記憶がフラッシュバックする。思い出すだけで恥ずかしすぎて死にそうだった。顔を両手で隠してその場に座り込む。


 「そうじゃん!全校生徒の前で告白してたじゃん!」

 「確かに!ってか、蘭さんって結構積極的だよね?」

 「や、やめて〜!!!!」




 「で?一華はこの後どうする予定なの?清水寺で会う約束はしたけど…」

 「…清水寺でデートするっす」

 「…え?それだけ?だって清水寺で告白すれば結ばれるって言う伝説は?」

 「その伝説を他の子にされるのを防ぐ為っす。私と2人きりでいれば告白されないっす」

 「た、確かに………」


 一華と五花の部屋では明日の作戦会議をしていた。五花が真と清水寺で会う約束をして、実際には五花がいけなくなった代わりに来た一華が真と会う予定だ。そこで周りの人に告白されない様にするのが一華の計画だった。


 「一華は………告白しないの?」

 「私は昔から告白するシチュエーションは考えてあるっす!それまで告白しないっすよ」

 「そっか………」


 ポケットからスマホを取り出す。地図アプリで清水寺の地図をぼーっと眺める。一華に聞こえないくらいの小さな声で、ぽつりと呟く。


 「………何だ告白しないのか……」




 「あ、やっと来たな?おせーぞ真」

 「悪りぃな。トラブってたんだよ」

 「おっす門川」

 「よろしく門川くん」

 

 部屋の中には、青木の他に、前に食堂でご飯に誘ってくれた男子2人がいた。あまり話した事もないが、とてもフレンドリーに接してくれた。


 「おう、よろしく」

 「にしてもお前は良いよなー?いっつも百花学園のお姫様と居るんだからな」

 「?何だそれ」

 「それも知らなかったの?」

 「さすが元会長だぜ…」


 どうやら、5人は百花学園ではお姫様として扱われているらしい。何でも、5人それぞれにファンクラブが存在しているとか。いや、俺の許嫁なんだが………


 「へ、へぇー…。そんな事になってたのか…」

 「それを知らねーとは。真はやっぱちげぇな。それで?お前は?」

 「…え?」

 「だーかーらー!誰が好きなんだよ!?あの5人の中で!」

 「門川は佐倉姉妹のどっちかだろ?」

 「いや、門川くんは四羽さんがいるじゃん!あんなスピーチをして意識しない筈ないよ!」

 「…な、なあ!こー言うのって寝る時じゃねぇの?」

 「いいから!で?誰が好きなんだよ!?」


 凄い勢いで質問が飛んでくる。3人から熱い視線を向けられ、思わず後退りしてしまう。

 でも、真剣に考えていなかった。家出をして正式な許嫁関係では無くなったが、あの5人はもう必要な存在だと感じる。あの5人の中から誰かを選ばなくてはいけない。


 「………俺は…5人の中から選ぶんだったら…」


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