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許嫁ガチャは⭐︎5だらけ  作者: 我妻 ベルリ
第三章 激戦!運命の紅葉狩り編
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第30話 紅葉狩り〜準備〜

 10月20日日曜日。高校2年生で始めて皿洗いをした。普段、どれだけ裕福な暮らしをしていたのか身に沁みてわかる。

 生まれつき使用人が居て、全てのことをやってくれた。家出したことで、当たり前が当たり前じゃ無い事をようやく実感できる。

 家事は6人で分担し、協力して暮らして行く。そんな関係が大変で楽しい。


 「あ、お皿洗いありがとうございました」

 「良いんだよ当番だし。それよりもお風呂は?」

 「今、三和が入ってるよ。………マコトっち覗かないでね?」

 「覗かねぇよ!」

 

 あの下着を見てから、変な妄想が嫌でも頭から出でくる。やはり、共同生活は色々難しい。


 「それより、先輩達は再来週には京都ですもんね。良いなー」

 「お土産買ってきてあげるからね!」

 「二奈は、私たちが京都に行っている間は実家に戻るんですか?」

 「そうなるっすかね。いつでも帰ってきて良いって言われてるっすからね」

 「待て………京都って何のことだ?」

 

 ○ ○ ○


 「明日には修学旅行の班決めるからなー。事前に決めておけよー」


 放課後のホームルーム。担任の呼びかけにクラスは適当な返事を返す。どうやら、皆んなの中では周知の事実らしい。

 最近は生徒会選挙で忙しく、高校2年で1番のイベント「修学旅行」の存在をすっかり忘れていた。

 問題は誰と組むか…。ぼんやりと考えていると、扉の方から視線を感じる。


 「…真は班決まった?…良かったら」

 「違うクラスだよ?」


 帰り道で三和と修学旅行の班について話す。三和の話によるとクラスが違っても班は組めるらしい。正直、二奈を外した4人と班になれれば心強いが…問題は班が4人班と言うことだ。全員と班になると言うことは出来ない。丁度俺以外のメンバーをどうすれば良いのか悩んでいたところだった。


 「じゃあ一緒の班になるか」

 「…うん!」


 「………」


 その会話を、物陰に隠れて盗み聞く怪しい人影に2人はまだ気が付かない。


 ○ ○ ○

 

 10月22日。5限のホームルームは班を決める時間になっていた。班はクラス関係なく組める為、その時間は自由に生徒が行き交い、教室も、廊下も騒がしい。

 俺は三和と話し合う為に、三和のクラスを訪れた。そこには三和と、隣の席の机に腰掛ける青木が居た。


 「よっ!総務部長」

 「何で青木がここにいるんだ?」

 「…真と仲良いでしょ?…同じクラスだから誘ったの」


 三和と青木が同じクラスだなんて知らなかったが、2人とも親友だ。この3人なら楽しい修学旅行になるだろう。


 「じゃあもう1人だな。青木は誰か誘いたい奴はいるか?」

 「うーん。皆んなもう組んじゃってるしな…白百合さんは?」

 「…私は真と組めれば良かったから。…五花は…?」

 

 確かに五花の明るい性格は修学旅行を楽しくしてくれるかもしれない。


 「じゃあ、五花のクラスに…」

 「あの」


 後ろから突然声がして、3人は一斉に後ろを振り向く。

 そこにはメガネをかけ、長い髪が艶やかに光る見慣れた女子生徒が立っていた。


 「ど、どうしたんだ?南条」

 「………私をあなた達の班に入れてくれませんか?」

 『『『………え???』』』


 数分前、三和の隣の教室である班が計画を立てていた。


 「では、作戦通りに行きましょう。雀が真くんの班に入り、班行動の時に真くんを1人にする。そこに四羽さんが駆けつけ、2人っきりの修学旅行にする……完璧ですわ!」

 「ほ、本当に良いのかな…?」


 四羽は昨日、偶然にも三和と真の会話を聞いてしまった。同じ班になろうとしていた四羽は、どうしたら良いのかわからず、同じ生徒会の白猫と南条に助けを求めた。白猫と南条は、四羽をサポートする為に作戦を考え、それを既に実行させていた。


 「な、なんか悪いことしているような…それに、白猫さん達が、わざわざ私なんかに協力してくれなくても!」

 「何を仰ってますの?私達は同じ生徒会の友達ですわ。協力するのは当たり前です。それに、真くんには一泡吹かせたいと思っておりましたの…!」


 白猫の表情はニヤリと微笑み、絵本に出でくる悪い魔女のような表情を浮かべていた。そんな白猫に少し引きながらも、こんなに真摯に向き合って協力してくれる彼女を改めて尊敬する。

 誰にでも真っ直ぐに向き合う。それが生徒会長になる程の人望の厚さなのだと実感する。どこかの誰かと違って1人でやろうとしない所も尊敬出来るポイントだ。


 「同じ班になれなかった事を利用して、真くんをゲットしてしまいましょう!ね?四羽さん!」

 「おー……って、ええ!?そ、そんなつもりじゃあ…」

 「え?だって好きなのでしょう?真くんの事」


 ストレートな質問に動揺してしまう。あのスピーチから、彼の事が妙に気になる。初めての感覚。でも、自分でも自覚し始めている。


 「…ま、真の事が………す、好き…です…」

 

 自分で言っていて恥ずかしい。

 でも、全校生徒の前で言ってしまったんだ。もう後戻りはできない。


 「四羽さんの気持ち伝わりましたわ!では、真くんを勝ち取る為に頑張りましょう!」


 白猫が、右手の拳を高く振り上げる。それに四羽も応えるように右手を挙げる。

 その頃、また他のクラスでは別の計画が動き出していた。


 「じゃあ、マコトっちをイチコロにしてやりましょう!一華!」

 「そうっす!私達で真を勝ち取るっす!」


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