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許嫁ガチャは⭐︎5だらけ  作者: 我妻 ベルリ
第三章 激戦!運命の紅葉狩り編
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第22話 好敵手

 もう9月とはいえ、まだまだ冷房が手放せない残暑。外はまだ熱気に包まれている。

 放課後になり、僕は生徒会の仕事があり、生徒会室のドアノブを捻る。

 現在の生徒会メンバーは僕を含めて5人。このメンバーは、百花学園の特殊な校則によって3年生から直接選び抜かれた優等生だ。


 「あら、会長。今日はお早いのですね?」

 「いつも遅刻してるみたいに言うな」


 僕の答えに彼女はくすくすと笑う。

 綺麗な白い色の髪をした、お嬢様感を出しているお嬢様が白猫紅葉(しらねこもみじ)。現在の生徒会副会長で、学年3位の学力と厚い人望を併せ持つ。今回の選挙で1番厄介な敵だ。


  「まだ集まっていないのは、龍之介と武田先輩ですね。はぁ、時間くらい守ってください」


 眼鏡をくいっと上げて、手元にある資料を熟読しているのが南条雀(なんじょう すずめ )。生徒会会計として、学校のあらゆる数字の管理をしている。紅葉とは幼馴染で、とても親しくいつも一緒に居る。

 2人と話していると、生徒会室のドアががちゃりと音を立てて開かれる。


 「ごめんねー?遅れちゃったー!」

 「先輩のせいですからね!?俺のせいじゃないから!」


 そう言って入ってきたのは、武田玄江(たけだしずえ)先輩と青木龍之介(あおやまりゅうのすけ)の2人。


 武田玄江。彼女は唯一の3年の先輩で、生徒会長の座を僕に譲ってからは総務部の部長となって支えてくれている。僕以上の成績優秀でスポーツ万能。僕がこの学校で唯一勝てない人だ。


 青木龍之介。彼は生徒会長書記として支えてくれる。僕の数少ない親友と呼べる男子で、いつも頼りにしている。


 「やっと揃いましたね。では、生徒会の業務を始めましょうか」


 生徒会室に静寂が訪れる。それぞれの書類作業に取り組む際はいつもこうだ。

 1時間が過ぎてようやく休憩を取る。南条がコーヒーを淹れてくれる。

 部屋にはコーヒーの芳ばしい香りが漂う。窓から差し込む光が、机の上に置かれたコーヒーカップを輝かせる。

 口をつけようとした時、白猫から話しかけられた。


 「そう言えば会長。生徒会選挙の件ですけど…」


 部屋に一気に緊張が走る。皆んな顔を伺いながらコーヒーを啜る。


 「私は…そのまま副会長に立候補しようと思います。今年は新任投票になりそうですね」

 「そっかー!じゃあ私の代わりを探さないとだねー」

 「今年は平和に終わりそうだな!」


 白猫の一言で緊張が解け、和やかな雰囲気になる。しかし、1人だけ緊張が解けていない者がいた。

 僕はその空気を断ち切る様に口を開く。


 「いいや、今回は僕は副会長に蘭四羽を推薦する。決選投票だ」


 再び生徒会室に緊張が走る。窓からの光は、いつの間にか雲に隠れてしまい、部屋が暗くなる。


 「…そうですか。では、私も生徒会長に立候補します。副会長には雀を推薦します」

 「最初からそのつもりだろ?」

 「さぁ?何のことでしょう?」


 こうして、生徒会選挙で戦う事を決めた2人は、その後ずっと近寄り難い雰囲気を漂わせていた。

 生徒会の仕事が終わり、皆んなが帰った後に僕は武田先輩に呼び出されていた。


 「で?真くん。急にどうしちゃったの?」

 「言った通りですよ。僕は蘭四羽を副会長に推薦します」

 「わざわざ決選投票にする必要あったの?」

 「ええ、普段から物事を先読みするあいつが、大人しく副会長に立候補すると思います?どちらにせよ戦ったたと思いますよ」

 「それもそっか…はぁ、平和に終われば1番なんだけどねー。そうはいかないか」


 武田先輩は顔を(しか)めながも四羽のことを認めてくれた。

 お礼を言って廊下に出ると、一気に熱気が体に伝わる。残暑はまだ厳しいみたいだ。


 「あ、真。お疲れ様です」

 「ああ。待たせてごめん。じゃあ行こっか」


 生徒会室を後にして、待ち合わせていた四羽と合流する。

 今後の選挙活動で勝敗は決まる。その為に2人で、いつものカフェで計画を立てる事にしていた。

 ここで四羽と出会ったのがもう昔の様に感じられる。そんなことをぼーっと考えていると四羽に睨まれてしまう。


 「私の話聞いたました?」

 「え?も、もちろん!これからのアピールについてだよな!?」

 「全然違います!」


 怒った顔で四羽がまあ一度話してくれる。内容は今の生徒会についてだった。


 「今の生徒会は、何故3年生1人なんですか?」

 「あぁ、それはこの学校の特殊な校則が原因だ」


 百花学園は、生徒会選挙に出馬することすら難しい。理由はその条件だ。「学年順位10位以上であり、遅刻、無断欠席、指導が無いこと。そして、学校外で優秀な成績を示していること。」と言う厳しい条件に加えて、教職員にその出馬を認めてもらう必要がある。

 僕が1年生の時に生徒会に選ばれた時は、その条件をクリア出来た先輩が武田先輩しか居なかった。

 その為、百花学園の特殊校則第四条「該当者が居なかった場合、現生徒会長が相応しい人物を選抜して良い。」この校則に従って今の生徒会が出来上がった。


 「え?私、条件クリア出来てないんじゃ…」

 「いや?僕がリゾート地での四羽の活躍を伝えたら通ったぞ?」

 「そ、そうだったんですね。ただの旅行だったんですけど…」

 「だから、とりあえず出馬は出来る。でも、ここからが問題だ。四羽は無名の状態からのスタートだ。だから、まずは全校生徒にアピールしなきゃいけない。」

 「そうですね。何か策はあるんですか?」

 「………無い!」

 「ええ!!??」


 四羽が勢いよく立ち上がる。その大声に周りの客が四羽を見つめる。恥ずかしくなり、すとんっと座る。


 「そ、そんなに驚くなよ。今は無いってだけだ」

 「今は?」

 「そう。1週間後に出馬する生徒のスピーチがある。そこまでに準備するんだ。スピーチした後が勝負だ」


 1週間後のスピーチなら向けて出来ることは何でもやっておく。2人はその後も夜遅くまで話し合った。


 ○ ○ ○


 次の日の放課後も、2人で図書室で話し合いの続きをする。

 すると、普段は人なんて来ないのに今日に限って珍しく図書室のドアがガラガラと音を立てて開いた。扉の向こうには、2人の厄介な好敵手(ライバル)がいた。


 「初めまして、蘭四羽さん。わたくし白猫紅葉と言います。今度の選挙で生徒会長に立候補します。以後、お見知りおきを」

 「私は南条雀といいます。副会長に立候補いたします。あなたとは競い合う関係。お互いに公平な戦いをお願い申し上げます」

 「え、ええ。こちらこそよろしくお願い」

 「よろしくお願いします!ところで!」


 四羽の挨拶に白猫は食い気味に答える。そして、四羽の手を握り、ぶんぶんと上下に揺らしながら質問をぶつける。


 「四羽さんはこれまでに生徒会に入った事がおありで?」

 「え?い、いいえ」

 「では何故、図書委員から生徒会に入ろうと思ったのですか?」

 「…えぇっと。真…門川くんをサポートしたいと」

 「それは何故ですか?どう言ったご関係ですの?」

 「えぇっと。……えぇ…」

 「もう良いだろ白猫。話し合ってたんだ、邪魔しないでくれるか?」

 「あら、ごめんなさい。では会長、また明日の放課後に…」


 白猫たちは、不敵な笑みを浮かべて図書室から立ち去った。


 「まずいな…先手は取られたらしい」

 「え?ど、どう言うことですか?」

 「質問の内容だ。最初の質問で、四羽が生徒会選挙が初めてである事がバレた。選挙に関してはあいつの方が経験が多いからな。二つ目の質問で僕との関係に違和感を持たれた。あいつはそこを突いてくる。」

 「少しの質問でそれだけの情報量を…」

 「それだけじゃない」

 「え?」


 四羽の顔と手を見る。顔には若干の汗が見え、手はほんの少しであるが、震えていた。


 「あの質問攻め。勢いよく話し掛けられると言葉が詰まったり、困った表情を見せる。そんな弱点を見破られた。」

 「ご、ごめんない!まさか急に来るなんておもわなくて!」

 「いや、良いよ。ただ、この情報がスピーチにどう影響してくるのか…」


 選挙に向けての戦いは既に始まっている。出だしは最悪だ。


 白猫紅葉(しろねこもみじ)年齢17歳 白猫家の1人娘

身長163cm 体重51k バストサイズ Bカップ

●白猫家はそこそこ有名な名家。小さな頃から英才教育を受けており、国会議員を目指している。

●見た目は、白髪でハーフアップで生徒会副会長を務めている。生徒たちから絶大な支持を受けている。性格は良さそうに見えるが、だいぶ黒い面を持つ。テストで学年3位が許せず、1,2位の真と四羽を超える事を目標にしている

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