第18話 クエストクリア
部屋にスマホのアラームが鳴り響く。思い瞼を開けてアラームを止める。スマホの画面を見ると8月12日7:00と映し出されていたる。長い様で短かったリゾート地での修行も今日で終わりだ。
朝食をとって荷物をまとめた後、帰る前にお世話になった人に挨拶しに回る。皆んなが居なければお祭りは成功できなかった。本当にそう思う。
全員に挨拶し終わった後に、約束をしているわけでもないのに、会える気がしてまた売店にきてしまった。
「…流石に居ないか。」
そこに彼女の姿はなかった。諦めて帰ろうとした時に後ろから声がした。
あの時の、変わらない彼女が。
「七海…」
「良かったー!挨拶もなく帰っちゃうのは寂しいからね!」
「そうだね」
そのまま売店でもう一度アイスを買う。今回は綺麗に二つに割れた。
「今日帰っちゃうんだよね?寂しくなるなー」
「そうだ!連絡先交換してくれよ!もういいだろ?」
「た、確かに。…はいっ!これでいつでも浮気できるよ〜?」
「あんまり洒落にならないことは言わないでくれ…」
アイスを溶ける前に食べ終わる。蝉が鳴いている。目の前には青い海が輝く。
「また、遊びに来てよ。来年もお祭りしたいし」
「そうだね。連絡先も貰ったし、今度メールするよ」
「うん。じゃあ、またね!真くん」
「うん。またね。七海」
2人は別れて売店を立ち去る。振り返らず、そのまま歩いていく。夏の思い出に終止符を打つ様に。
「もしもし?実か?」
「…ええ。真の件どうなりました?」
真の父と祖父、門川実と門川頼茂は電話で真の結果について話していた。
「いやー。真に全て任せてみたが…残念じゃが…」
「ダメだったんですか?」
「わしの方がな。真の事を侮りすぎた。あやつ、売り上げを3倍どころか5倍にしおった。こんなに結果を出すとはなぁ。誰かさんが、常連客を連れてきたり、百花学園の部活の合宿、アイドルグループのライブを用意してくれたお陰かの?」
「………何のことですか?」
「それでも、真は自分の実力で結果を出した。あのお祭りはわしでも出来なかった事だ。お前も、少しはあの子を認めてもいいんじゃないか?」
真は、当初の目標を超える5倍の売り上げを叩き出した。日朝祭りはニュースにも取り上げられ、大いに盛り上がり、予想していた以上の人数が門川リゾートに押し寄せたのだ。
「そうですね。少しはあいつの事を認めても良いかもしれませんね。」
周りの人に助けられ、課題を乗り越えた真はリゾートでの夏を後にした。
○ ○ ○
部屋にスマホのアラームが鳴り響く。思い瞼を開けてアラームを止める。スマホの画面を見ると6月29日7:00と映し出されていたる。
2029年6月29日。今日は結婚式当日だ。
●●と朝食を済ませて、身支度をしていると、スマホが震える。相手は七海だ。
「おはよー!寝坊しなかったんだね!」
「こんな大事な日に寝坊する人はいないよ。それより、式には間に合うのか?昨日仕事だったんだろ?」
「安心して今向かってるから。結婚式に遅刻する人なんていないよ!」
電話越しでも彼女の元気な姿が思い浮かぶ。実際に会うのは高校2年の夏以来だ。
そのまま2人で夏の思い出を語り合う。出会った時のこと、デートの後に家に行って驚いたこと、祭りで俺が倒れたこと。
思い出を振り返りながら話していると、●●が凄い形相で部屋に入ってきた。
「真!?誰と話してるの!もう時間ないよ!?」
「え!?もうそんな時間?」
時計を見ると、あと10分で家を出ないといけない時間まで迫っていた。
「あちゃー長話しちゃったね。じゃあまた式でね!遅れないでよー?」
そう言い残してプツリと電話が切れてしまう。僕は慌てて式場へと向かう。
「はぁー真くんが結婚かー。早いなぁ」
私は昔の事を思い出す。
あの夏、真くんと再会して私はかわった。一緒に日朝祭りをして、楽しく過ごして、気持ちをぶつけた。沢山助けられた。
「真くん。結婚おめでとう」
もう泣かない。あの時みたいに、もう未練は無い。前に進めたんだ。
私は、彼と彼女の結婚式を祝福に向かう。
○ ○ ○
8月16日。リゾートでの課題を無事にクリアした僕は家で課題をしていた。
クーラーのかかった部屋で、自習していると、スマホから着信音が鳴り響く。電話に出た瞬間に五花の叫び声が聞こえてくる。
「マコトっちー!助けてー!!四羽が課題を押し付けてくるよー!マコトっち!課題手伝っ」
「ピッ」
通話を切る。スマホを置いて課題に戻ろうとするも、直ぐにもう一度着信音がなる。
「なんだよ」
「なんで切るの!?マコトっちお願いだよ!私の家で皆んなで課題やってるから!待ってるよ!!」
「………はぁ、仕方ない。言ってやるか」
机の上に置いてある課題をバックに詰めて外へ出る。
外は相変わらず暑い。でも、不思議と外へ出る事への抵抗感はなかった。
夏休みは半分が終わってしまった。残り少ない夏休みを満喫する為に五花の家へと向かった。
日朝七海年齢17歳 日朝家の1人娘
身長 157cm 体重 50k バストサイズ Cカップ
●「日朝商店街」の看板娘として皆んなに可愛がられている。日朝祭りの歌自慢大会で7連覇という不動の記録を持っている。7年前に真と出会っていて、真が初恋相手。
●オレンジ色の髪でロングヘア。いつも元気で明るい。好きな物は商店街のコロッケ。