八話
一応 男、少年、N の言い換えは故意だよう
主人こーわざと小物に書いてる
ガタガタガタガタ......ついに馬車は動きを止める。だがそれは二人がラザーンに到着したことを表すものではなかった。
「なんだこれは......」
正に二人、出てくる言葉は同じだった。だが次の言葉は一向に出るものではなかった。
「.............................................................................」
つい先ほど、新天地への意気込みを二人で言い合ったものを、この惨状を目の当たりにし、そのような感情はどこかに行ってしまった。
数々の....本当に数多くの、死体の山をどこかの兵どもが一斉に焼いているのである。その煙は空一面を覆い隠しているようである。
長い長い沈黙に、次の言葉を発したのは男のほうであった。
「行こう....この惨状を確かめに.....」
フェリーザはかろうじて小さく首を縦に振りこう言った。
「あの兵たちの紋章は....ルードムのものです....」
そこから会話は続かず、二人は走り出した。もはや自分らが追われていることなど、思慮になかった。ただただこの現実を否定したいばかりである。
二人は今まさに松明をおろそうとする兵士の手を掴み、
「これはいったい....なにがあったのですか.....」
兵士はそれを聞き一瞬、不快ここに極まれりといった顔をしたが、二人の姿を見た途端。表情は焦りへと変わり、叫ぼうとした。が、そうなることは既に分かっている男は喉元に担当を突きつけこう言った。
「叫ぶな....叫んだらどうなるか.......質問に答えろ」
兵士は怯えの顔をあらわにしながら言った。
「わ、わ、私らは上層部の命令で....ラザーン国の人間を焼いているのです、、、めっめっ命令で.....」
「.......皆か.....」
「......へ?」
「住人、みな死んだということか」
「そ、そのようですが.....でっですが、我々は焼くだけの係、手を下したのは私ではありません」
何ということか。
男の手から不意に力が抜けた。
刹那、兵士はしたり顔をし、男の拘束から逃れた。瞬時に男は動けない。
そして近くにいたフェリーザの首を掴み、瞬く間に背後に回って彼の腰にある剣を抜き、ひいた。
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男の視界に美しい鮮血と、仰向けに倒れたフェリーザの姿がうつった。
八話完