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七話

突然明るくなっちまった

ま、まあ今後の為の布石だから

1PVでも~

夜のざわめきは過ぎ去り二人は狭い馬車の一室に目覚めた。光が差し込む。二人の目には何物かもしれぬ、ただただ決意にあふれていた。

「さて....ここから何をしましょうか.....」

少女は目をこすりながらそう言った。

「あっそうだ...昨日は突然のことで、つい挨拶を忘れていました。私、フェリーザ、 フェリーザと申します!貴方は?」

フェリーザは元気よさげであり、これがいつもの彼女のふるまいなのだと男は理解した。そして、それ程までに昨日のことがつらかったのだ、少しでも立ち直れてよかった、と、つい男もつられてほほ笑んだ。

男は今までの様子では考えられないほど陽気な口調と、少し悲しそうな顔をして、返答した。

「すみませんっ.....実は、ないんです....元の世界にはありましたが、あの頃の私はもういないんです..死んだのです......」

ここは察しのいい少女である。

「そうですか....何か相談に乗ってほしいことがあれば、遠慮せず、私に伝えてくださいね! けれど、名無しではいけません。私はあなたのことを何と呼べばいいのでしょうか...」

男は考える...しかしいくら考えても思い浮かばないようだ、長考している、が小さな声でこう言った。

「えっ、えっと、もし俺が、アルファベットの一文字で読んでほしい....なんていいだしたら、あなたは笑い.....ませんか.....」

突然爆発する内なる男の少年。

「笑いませんよッ」

とフェリーザは笑いながら言った。

「今後とも、よろしくお願いします。Nさん......」

Nの顔は真っ赤である。やはり連日の張りつめた空気が修羅の男を作り出していただけであり、根は少し明るい少年であった。少女もまた、そのことに対してシンパシーを感じていた。

N(仮)とフェリーザはしばらく話の目的を忘れ談笑していたのだが、少しすると、今後のことに話を戻した。

「フェリーザ..さん、これからどういう立ち回りをしていきましょうか...」

「フェリーザでかまいませんよっ」

彼女の笑顔に男は数秒間ノックアウトされた。

(なんて笑顔の素敵な人なんだ......いや、いまはその話じゃない....)

赤いつらの面影を残したまま少年は咳ばらいをし、

「どうしましょう」

と言う。

少女は少しばかり悩むそぶりを見せ、こういった。

「冒険者ギルドに所属するのはどうでしょうかっ....いや、逆にそれ以外道は残っていませんっ」

男が返す。

「やっぱりそうだよなー.....数週間前から俺はこの異世界にいたわけだが、常に安定している職と言えば兵士か、冒険者くらいのものだと感じた。...だが、顔はどうしよう。俺は既に王殺害人として顔が知れ渡っている。君もフォルティス氏の娘だ....登録しようにも、たちまちどころに捕縛されてしまうだろう。」

「それがあるんです。はるか遠くの国に」

「えっ、どんな?」

「西方の国、ラザーンです。そこは魔王信仰の国です。不本意なことですが、未来はそこにしか残っていません.....Nさん?」

少年は震えていた。しかしそれは悲しみの涙ではない。未知の未来への好奇心である。

「うん、うん、行こうっ..掴もう、未来をっっ」

フェリーザと少年は小さくタッチした。


______________________

暗い、ただ暗い一匹の蛾が二人の馬車の上を舞う。だが強い風一つで、それは地面に堕ち、動きを止める。少年のポケットの中の蝶の模型が少し震えた。だがそれも馬車の振動に消えるのみである。





抱くはずや違和感。逃避の天才。

見てくれる人に土下座したい。

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