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六話

露骨な解説パート

あたりは静まり返っていた。つい先ほどまで俺ほどの戦闘が行われたとはだれも思わないほどに、静寂の時であった。

たいまつによる少しあたたげで優しい光が二人を暗黒から守った。

数刻静寂の時を過ごしたのち、少女が話を切り出した。

「私、こんな状況であっても、時々思うことがあるのです.....今外に出たらどうなってしまうのかと......私たちは学校で夜外を出歩いてはならない、さもなくば消滅する、って教えられてきたものでしたから....しかしそれを口に出すたびに父に止められてきたんです。魔王の呪いだって、夜だけは魔王もよみがえることができるって.....」

「..................................................」

「これらをはじめ、父はいつも私や使用人さんらのことを気にかけてくれていて......時に喧嘩はしたけれど、本当に尊敬できる父親だったんです........しかし私は今回の出来事を何も知りません.....ことの経緯を伝えてほしいんです.......どうかお願いします.....」

少女は少し震えながら言った。彼女なり、決意を固めているのだろう。


男は少し間をおいて語った。

「まず、私は、別の世界から来ました。所謂、転移者です....私は前世不思議な出来事に見舞われて、いつの間にか、この国の領内、草原に目覚めたのです......」

少女は『転移者』との言葉に不思議がっている様子であったが、ひとまずは話を全て聞こうとしていた。

「そして、そこの領主であるあなたの父、フォルティスの部下に捕らえられましてね....私はその時ひどく混乱していて、近々のことはもう頭にありませんが.......」

たいまつがパチパチと音を立てている。

「そのとき私には目標がありませんでした....ただ、喪失感、訳の分からなさにただ酔っていました。しかし、二回死ぬ勇気はありませんでしたけれど....」

男は苦笑しながら、話をつづける。

「私は誰かに動かされたかった。自分で何も考えたくありませんでした。だから、フォルティス氏の計画、王都脱出及び王粛清計画に参加することになったのです。作戦として、まず王は戦いが好きです。その王が定めたこととして、物事を提訴するにはまず闘技場での勝負に勝つ必要があります。そして私はその負け役としていました。が、フォルティス氏にとってそれは部下としてのテストも兼ねていたようで、八百長とはならず、結果私は惨敗してしまいましたが......」


少女は驚いた。まさか自分の父が王を暗殺しようなど考えたということは思いもよらなかったからだ。

「..................」

「しかしその計画を王は半分察知していたようで、くるならこい、と、一週間前ほど前から闘技場を予定し、大衆の中始末しようとしました。我々は焦り、結局遠征中だったフォルティス氏と一回も顔を合わせることのなく、その日を迎えたのです。ただその三日前ほど、私は目を負傷してしまいました。あれはまた夜のこと、私は夜、何も知らずに出歩いてしまいました」

少女は驚いた。

「えっ...じゃあなんで.....」

「生きているか、ですか。しかし、私にはわからないのです。ただ気づけば、片目を失い、もう片目が故意に青く光らせることによる副作用、能力を得ていました.......」

そう話を続けているさなか、突然少女は態勢を丸め、その様は涙目となっていた。

驚く男、少女は少し声を震わせて言った。

「すみません....なにがおこったのか話を聞いている途中...徐々に実感が....どうとあれ、私はもう家族と会えないという、実感が.......すみません、聞いたのはこちらですが、今は、ひとりで考えさせてください......本当にごめんなさい...」

そう言って少女は泣き崩れた。


男は心のうごめきを感じていた。

男は異世界に来て、常にわけのわからぬ孤独に見舞われており、食傷していた。だが、今、男の感情は初めてうごいた。

(俺は....この人のことが気になっている________)

そう自覚した。男はあの夜から常に絶望していたわけなのだが、初めて同じく絶望している人がいて、その存在は不謹慎ながら、彼の心の支えとなっていたのだ。初めてあったときからそうだった。強烈なシンパシーを感じ、こんなに苦しい世界がまるで美しい、まるで銀河のように思えた。

_________________

気付けば男も泣いていた。

少女も泣いている。

ただただ食傷の時を共有していた。



六話えんど

読みにくいな、うん

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