二話
ちょっとペース遅いかなあ....こんなもん?
見てくれる人が一人でもいる限り書くつもりではいる。
日照りの強い、晴天の日。
今日も毎度のこと市場が盛り上がっている。一人の老人がそれを見てひとつ頷いた。
「いい日じゃのう、今日は。そう思わんか新人よ...」
と、隣にいた男に話しかける。
「そうですなあ。この繁栄も、ルードムの為に必死に活躍していただいた教官によるものです。」
男はそう言い、老人がこたえる。
「ハハハ、世辞はいいよ世辞は....わしらのバトンをつなぎこの国の兵士として働かんとするお前たちがいてくれるだけでワシは十分うれしいよ....」
男はうれしそうな顔をするも、次に苦い顔をし、決心したように言った。
「ですが教官....我々が存在する意味は、本当にあるのでしょうか......教官らの時代とは違って今の時代に戦争はありません......」
それをうけ、少し考えたのち、老人はこう言い返す。
「わしが生まれたころも、まさに平和じゃったよ。しかしな..今思えば、平和ボケしていたのかもしれないの。戦争が起こったのじゃよ、軍隊もない貧弱な国にな....おぬしも知っておろう、魔王の侵略じゃよ」
「..........................」
「わしの家族はわしをのぞいて、戦火にのまれて行ってしまったのだ.......」
老人は遠い目で、悲しそうな面構えをしていた。
「くやしくて、悔しくてな。だから、兵隊になったんじゃ....平和ボケしていなければなと......だからじゃよ、だからわしはお主らの存在がありがたくてありがたくて....」
老人は、後、王のことがある。とも足した。
男は少し感じたような様子で
「................ですね。愚問、失礼しました。」
と返し、
「教官、もうそろそろで始まりますよ」
と言った。
老人と若者はどこかに向かっていった。
ルードムの町の一角に、石で作られた五角形の巨大な建物がある。その建物は国の技術を誇示させられるものとなっており、常に熱気に包まれている。今日も人が集まっている、が、普段とは少し様子が違うようだ。それは大勢の人々が屋根の上にのって観戦していることである。そして闘技場の中は、普段とは明らかに客層が違うであろう、こぎれいな格好をした貴族ばかりである。そしてその中でもひときわオーラの違う男がいた。その男は王冠をかぶっている。
とにかく荘厳たるその男は席につき、貴族らに対し、こう言った。
「諸君、私は近頃、とある『獣』をとらえた。クク、『獣』...本当にその通りだ。」
王は続ける。
「諸君、人が人である絶対条件とは何かね?単純に、生きていることを指しているのではないのだよ.....わかるかね、人は私に忠誠を誓って初めて人となるのだ...それ以外は、みな獣、畜生にすぎんのだ......」
王は少し笑って見せた。
「なあ、そうは思わんかね....フォルティスよ.....」
王の目線に、中年の男がいた。まるで悪魔のような闘気をまとった男は言った。
「はっ...その通りで.....ございますれば王よ.....しかし、少しばかり差異がございますな........何者であろうと、『王』以外の皆は獣であります.....無論、王の座を失ったものも、また『獣』でございますがな......」
王は高らかと笑った。
「ハッハッハッ....まこと、その通りよ...ただ、王になろうとなれなかった者の末路は知れているぞ............フォルティス...貴様の面も、今日限りで見納めだな....残念残念....」
「笑止!!」
男は一振りの剣を携えて壇上から飛び降り、闘技場の真中へ降り立った。
「王よ....その王冠を外す決心を固めていることだな.....今に見よ.....」
と、男は剣を携え中央に立った。
王は言った。
「獣同士、せいぜい殺しあえ....」
『ギギギギギギギイーーーー』
闘技場の木製扉は音を立てて開いた。すると一人の、街中にて自死したはずの、あの少年が姿を現した。しかしその風貌はあの夜と比べ全く違うものだ。潰れた右目と壊れた左足を引きずり、少年....いや、男。男はゆっくりと闘技場の中央へ位置した。
闘技場の外からは彼の体を見た呆れ、拍子抜けといった様子である空気が十分に伝わってきたが、誰も王の前で口を開けるほどの度胸を身に着けていなかった。
王は右手に持った杖を床に
「もう始まっている....か」
とつぶやいた。
フォルティスなる男は一動もせず直立したままである。
「貴様...名を名乗れ」
と言った。
男は真顔のまま
「そんなもの、俺にはない....」
と返し、剣を真上に構えた。
第二話終わりだお