静寂な商店街
僕と彼女は二人で駅前の商店街を歩いていた。いつもなら、この時間でも通学や通勤をする人たちが何人かはいるはずなのに、建物の窓からは一つも明かりが漏れず、道路には人影がない。
寂しさが心を包み込む中、僕たちは手を繋いで歩き始めた。商店街にはいくつもの店舗が並び、日中は活気に満ち溢れる場所だったはずなのに、今は不気味な沈黙に包まれている。人々が消えた理由はわからないが、僕たちはそれを受け入れざるを得なかった。
歩みを進めるうちに、商店街の中にある小さな喫茶店が目に留まった。店のガラス戸には薄暗い光が漏れており、中からは珈琲の香りが漂っていた。彼女は僕の手を引いて店の方に向かって歩き出し、僕も彼女に続いた。
店内に入ると、そこには年配の紳士が一人、カウンターでコーヒーカップを片手に座っていた。彼の顔には懐かしい微笑みが浮かんでいた。
「おはようございます。二人でいらっしゃったのですか?」彼は優しい声で言った。
「おはようございます。はい。この街には他の人はいないのでしょうか?」僕は疑問をぶつけた。
紳士はゆっくりと頷きながら言った。「この街の人々は、一夜にして姿を消しました。どこへ行ったのか、私にも分かりません。ただ、私だけがここに残されたようです。」
驚きと不安が心を揺さぶる中、彼女が尋ねた。「でも、なぜ私たちは残ったのですか?」
紳士は微笑みながら言葉を紡いだ。「それは私もよく分かりませんが、おそらくあなたたちには何か特別な使命があるのかもしれません。このまま静かに過ごし続けるか、未知の道を進むかは、あなたたち次第です」
彼の言葉に心が揺れ動く。




