私は妖精さんと同居中〜妖精さんの雪だるま〜
私は巷に溢れる社畜の1人です。今日はたまの土日休みで、天気も良好なお掃除日和となりました。
一週間の洗濯物に、昨日分の食器洗い、明日からの作り置き。やることは沢山あります。そんな最中、私は妖精さんの痕跡を見つけるのでした。
ふわふわとした材質に丸い形状の物。大きさは3cm程でしょうか。雪国育ちの私に馴染み深いそれは、棚の影にひっそりと置かれています。
「ほうほう、今回はこんな物を作りましたか」
1DKの一室に私の声が響きます。
それをじっと見つめ、残留思念を読み取ります。。
「雪です、初雪が積もってるです!」
小さい妖精さんが駆け回ります。
「雪だるま作るです!」
おや、お友達がいたようです。2人が転がした雪だまは、みるみるうちに妖精さんの体の半分程の大きさになりました。
「重ねるのです」
いよいよクライマックスのようです。2人の努力の結晶が1つになろうとしています。しかし、体の半分ほどの大きさのものを簡単にはあげられないようです。妖精さんの頑張りに涙しそうになった時
「ガチャ」
どうやら昨日の私が帰ってきて、そこでお開きになったようでした。
そうして私は、妖精さん力作の綿ぼこりを掃除機で吸うのでした。
「ようやく、雪解けです。」
どこからか妖精さんの声が聞こえてきたような気がしました。