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「僕達がこれから向かうのはイガヤイムとエタウィとの間にある山岳地帯。今はまだまともな道があるけれど、途中からは獣道に入らなきゃならない。体力を温存するためにも焦らず行こうか」
イガヤイムを出て北上するルートに皆を案内するヴィンツ。
彼の言葉に桜花が疑問の声を飛ばした。
「向かう場所は分かりましたが、我々の向かう目的はなんですか? まだこの任務の詳細を聞けていないので窺いたいのですが」
「いい質問だね桜花さん」
顔合わせはここまでの道すがら既に済ませている。
互いに名前を教えあった程度だが円滑な意志の疎通が図れれば問題ないので後は追々という形となり、今回の任務について話題が移った次第だ。
「今回の任務、一応は調査って事になるんだけど場合によっては威力偵察と掃討作戦になるかもしれないんだ」
釈然としないヴィンツの答え。怪訝な顔つきになる桜花に気づいてか気づかずかヴィンツは続けて言葉を吐く。
「僕も任務を共にする仲間にこんなあやふやな事言いたくないけど、ギルドマスターに伝えられたまんまだからね。なんでこんなことになったかといえば、事の起こりは一週間前に遡るとかなんとか……」