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「どうしてこのオレ様がこんな雑魚共と組んでまで面倒な尻拭いをさせられねぇといけねぇんだよ?」

 傲慢というか居丈高というか聞いててムカッとくる言い方をジグラーはしてくる。

 見た感じの年齢はヴィンツさんと同じくらいなのにこうも人間としての器に差が出るとは面白い。

 経験の差か、教養の差か、はたまた根本的な資質の問題か。

 なんにしろ、俺はジグラーが嫌いだ。

 初対面の時に失礼な真似をされてるのも理由だが、なーんか気に食わないんだよな。

「テメェ等だけで勝手にやってろ。オレ様は帰るぜ」

 ギルドマスターからの指令をそんな言葉であしらってジグラーは執務室から去ろうとした。

「……第五位の座から降格されたとしても帰るかよジグラー?」

 ドアノブに手をかけていたジグラーの動きが止まった。

「ぁんだと? おい、ジジィ。テメェ脅してんのか? テメェの好きにならねぇからって、独断で冒険者の(くらい)を下げるってのか。ふざけてんじゃねぇぞ!」

 激昂するジグラー。上半身の筋肉が怒りで隆起し血管が浮き出る。

 膨れ上がる筋肉のせいで威圧感が倍増しだ。

 つーか、ジグラーって第五位の冒険者だったのか。

「――ふざけてんのはどっちだこの大馬鹿が!!」

 ジグラーの威圧をギルドマスターの怒号が掻き消した。

「独断結構。ワシはこの冒険者ギルドの管理責任を担うギルドマスターだ。お前は昔から問題を起こしてきてはいたが、ここ最近のお前の行動は目に余る。このまま第五位を名乗らせていいのか疑問に思わせるくらいにな」

 ギルドマスターの一喝にジグラーは呆然と立ち尽くしていた。

「二ヶ月前の一件以来、ギルドにはろくに顔も出さず娼館に入り浸り酒に女に博打たぁいいご身分だ。ワシが依頼の打診をしても知らんぷり、そのくせ払い忘れた依頼の報酬があると言やぁすぐに来やがる。イガヤイムの冒険者第五位がそんな奴に務まると本気で思ってんのか。なぁ、ジグラー?」

「…………」

 ジグラーに返す言葉なんて無かった。

 ここで傲慢な態度が取れるほど愚かじゃないらしい。

「他に異論は? 第四位のやるはずだった仕事だ。難易度は高く、五位、六位、七位の3組で取り掛かるのが妥当なんだが。やりたくねぇって腰抜けがいたら手ぇ上げろ?」

「「…………」」

 異論は無し。

 言える空気感じゃないから無いだけなんだが。

 ジグラーが叱責されるのを至近距離で見ていたヴィンツさんと俺。

 さすがに嫌ですなんて言い出せなかった。

 そして、消去法でヴィンツさんが第六位の冒険者と判明した。

「じゃあ、そういうことでよろしく頼む。急で悪いとは思ってるが必要経費はこちらで持つから各々遠慮せずに準備しろ。出発は二日後だ。では解散!」 

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