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 ――この世界に魔王はいない。


 その情報を入手した時にまず疑問に思ったのは、なら人々を苦しめてる魔獣とはいったいなんなのかって話だ。

 俺はてっきり有名RPGのストーリーのように世界征服を企む魔王が魔獣を使役し操ってると思ってた。

 結論から言うと、魔獣とは自然災害に近い『現象』との事。

 人々が日々を暮らす上で積もり積もっていく負の感情が大地に累積し、既存の生物を象り具現化する黒い淀み。

 これを聞いて、魔王より性質(たち)が悪いなって感想が口を出そうになった。

 だってそうだろう。魔王という巨悪を討って終わるなら楽なもんだ。

 それが『現象』となると話しが変わる。

 人間の負の感情が魔獣発生の原因とあらば、人間が絶滅しないと平和にならないってことになる。

 つまり、この世界の人間は永遠に続くいたちごっこの渦中にいる訳なんだ。

 本当に性質が悪いな魔獣って。

 その魔獣だが強さにもバラつきがある。

 人の負の感情の累積が魔獣の正体。よって、人口比率によって強さと発生率が段違いに上がってくる。

 俺達が活動拠点にしてる北方域のイガヤイム。

 交通の要所として栄え、地方都市ではあるが人口もそれなり。

 よって、魔獣は多く強い個体も発生しやすい。

 この強い個体を相手するのが階位持ちの冒険者である俺達の仕事になる。

 第七位冒険者に位置する俺達が相手する魔獣だが、(モデル)の既存生物よりも大きく強くなった程度で済むらしい。

 らしいってのはそれより上の個体に遭遇してないから比較のしようがないためだ。

 吟遊詩人の語りで城塞並みの魔獣の存在は聞いている。

 はっきり言ってそんな規格外の化物、俺達には倒せそうもない。

 俺達を第七位に据えたギルドマスターはいい目してる。

 ちゃんと他人の力量を過不足なく推し量れてるんだから。

 桜花の剣術は確かに凄いが対人特化型。

 それは桜花の元いた世界に魔獣なんて存在がいなかったのを示してて仕方がない事だ。

 桜花は岩も鉄も斬れないし、斬撃が宙を飛んだりもしない。

 人間の範疇で武芸を極めた強さだ。

 武器も同じで硬い魔獣を斬れば磨り減るし魔獣の脂で切れ味は鈍くなる。

 おかげで桜花の持つ剣はボロボロになってしまった。

「岩も鉄も斬れなくていい。魔王だって倒せなくてもいいから、普通に斬れてくれよー」

 そんな桜花に俺は剣を送ろうと思う。そのために手元のカードを拝んでおく。

 ギルド内の武器屋で売ってる西洋剣じゃなく桜花が使い慣れてるであろう日本刀を送るつもりだ。

 ……さて、結果はどうなるやら。

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