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「界人くん、あれで絵が上手になるの?」

 ノエルが不安そうに聞いてくる。

 逆ギレ気味に騒いでたリイナも絵が下手なのがバレたらすぐに観念した。

 いまはテーブルに置いたリンゴをモデルに筆を走らせてる。

「正直わからないな」

「え~、そんな無責任なー」

 ノエルが呆れた風に声をあげるが真実なんだからどうしようもない。

 筋トレもそうだが俺の修業ってのはどこかで聞きかじっただけのうろ覚えな知識を元にした適当なものだ。

 効果があれば喜んで、効果がなければ試行錯誤してくしかない。

 今やらせてるリンゴを描くのだって漫画かドラマかで見た真似だ。

 画力の向上には反復練習が効果的だとかなんとか。

 これは筋トレと同じだな。

 日々の積み重ねで徐々に徐々に地道にやってくしかない。

 裏技みたいに急速な上達方法を知ってたら俺は今頃天才と持て囃されてたことだろう。

「あ、でもそういえば意外だったな。界人くんギルドマスターさんに頼まれなかったんだね?」

「頼まれなかったって何が?」

「今回の伐採任務への同行。魔獣が沢山いる森が目的地なんでしょ? それなら界人くんにもお呼びが掛かるかなって」

「……あー、そういうことか」

 俺がイガヤイムに居残ってリイナに修業をつけてるのがノエル的には気になってたらしい。

 その予想は正しく俺も今回の伐採任務の噂を聞いた時からそれはあり得ると睨んでた。

 ノエルには言ってなかったが、数日前に実は冒険者ギルドに呼ばれギルドマスターとは関連した話をしてるんだよな。

「実はその件についてなんだが、ギルドマスターから特別遊撃隊に選ばれた」

「特別遊撃隊?」

 ピンと来てない感じのノエル。そりゃそうだ。俺も話を聞かされた時、同じ風に首を傾げた。

 特別遊撃隊とはエタウィからの奇襲に即応出来るように編成された新設部隊のことだ。

 設立のきっかけはこの間の山岳地帯で起こった大規模な奇襲攻撃。

 俺が偶然通りがからなければとてつもない被害が出てたであろう大事件。

 その苦い経験を活かして臨機応変に動ける部隊の必要性が騒がれ遂に形となった。

「つっても、メンバーは今のところ俺だけ。遊撃にはなにより機動力が命なんだとさ。空を飛べるティアがいる俺は打ってつけらしい」

 馬で一日の距離でもティアなら一時間と掛からない。

 どこかで問題が発生してもすぐに駆けつけられる機動力、起こった問題を片付けられる殲滅力。

 両方を満たすのは俺だけで一人きりの特別遊撃隊がこうして寂しく誕生した。

「そんなわけで俺はイガヤイムで待機。何かあればティアに乗って出動。俺があっちに同行しなかったのはそれが理由だよ」

 俺の説明にノエルは納得した様子だ。

 それと時を同じくしてリイナが絵の完成を報告する。

 どうせ下手くそな絵だろうが見に行ってやろう。

 何せ特別遊撃隊なんて大層な名前を貰ってはいるが呼ばれるまでは暇人だ。

 その時が来るまでは弟子の絵の批評をしてやる。

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