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茫然自失って言葉が相応しい脱け殻みたいになった俺に爺さんは根気強く話しかけてくれた。
はじめのうちは右から左にすり抜けてた爺さんの言葉も途中からは意味を理解できるようになって、ポツポツとだが聞かれたことに答えていった。
何故こんな場所にいるのか。
仲間はどうしたのか。
俺が何者なのか。
爺さんへ簡単に事情を説明する。俺は自分が異世界から来たってこと以外はボカシてあらましを伝えた。
「ふーむ、そりゃあ随分とおかしな話だ」
腕組みし思案顔の爺さんは語り出す。
「あの『帰らずの森』はな、生えてるのが大高木ばかりで木こり以外にゃ入る奴なんてほとんどおらんのだよ」
材木としての価値はあれども、生活に必要な糧を獲るには不向きな場所だそうだ。
肉食の魔獣の群生地にもなっていることから木こりでも冒険者や狩人を護衛として雇わなければ決して立ち入らないのだとも言ってた。
「ただな、それ故に別の使い道もあるんだ」
昔から飢饉の際には口減らしとして幼子や老人を森に追いやり魔獣に喰わせたりしてたらしい。
他にも罪人を同様の方法で処刑したりもしてたんだとか。
「……処刑人だって人間だからな。自ら手を汚すよりマシだったんだろうな」
近頃はほとんど無い話だと言ってるが、しみじみと語る爺さんを見て実際に見聞きしたことなんだろうと思ったが口には出さなかった。
「それとエタウィを目指してるとその村娘……ミエルは言ったんだったか?」
俺は喋らずに首肯だけする。
「それもまたおかしな話なんだ」
爺さんがエタウィについて教えてくれた。
「エタウィはこの辺じゃあ最悪の町だ。住む者の殆どが脛に傷持つならず者ばかりでな、他の町にいられなくなった者共が作った北の辺境都市だ。ありゃ魔窟だ。悪いことは言わんから近づかん方がええ」
命の保証は出来ない。爺さんはそう言った。
「薄気味の悪い話だな。森で出会った謎の少女、その子はエタウィなんて町を目指していて君と友人を旅の連れとした。そして、気づけば友人と少女は消えていたか……」
事実をありのまま並べられたが現実感が無かった。
自分が経験したことなのにまるで実感が湧かない。
悪夢の中にいるみたいだ。
そんな俺に爺さんが殊更心配そうに言った。
「……お前さん、いったいナニに出会ったんだ?」




