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街道に近づいていくと草が短く刈られた場所が街道脇に何ヵ所か点在するのが確認出来た。
「街道の利用者が使ったキャンプ跡ね。自分達で準備する手間が省けたわ」
先客の焚き火跡に枯れ木を拾ってきて火を起こしたら、昨夜と同じく焚き火を囲んで夜に備える。
空腹感に煩わされたが今夜は昨日と違いよく眠れそうだった。
昼前から夕方まで集中して運転したからな、慣れない操作を四苦八苦しながら頑張ったんだ。
バイクに乗っていただけでも疲れてしまう。
まだ陽も落ちたばかりの夕方そこそこ。
普段の夕食時にも遠い時間帯だったが俺の眠気は限界に近かった。
予想以上に疲れてたらしい。
「バイクの運転……すげー頑張ったんだぜ俺……」
なので、早々に寝てしまうことにする。
シンジとミエルは焚き火の前に二人仲良く座り込みぺちゃくちゃお喋りしてたが、もう嫉妬するのも面倒だった。
ボディバッグから【希望の龍卵】を取り出し抱き枕代わりに抱えて寝る。
コイツ、ほのかに暖かいから暖を取るのにちょうど良さそうだって思ってたんだよな。
「ぁ、シンジにデッキ預けたままだった」
バトミリプレイヤーにとって命の次に大切な己が魂のデッキを預けたままだったが眠気に負けてしまう。
中身の入ってないボディバッグを枕にしてたのも原因だろう。
デッキを返して貰うとなるとボディバッグにしまい直して枕には出来なくなることに繋がるからそれも嫌だった。
「明日になったら……返して……もら……」
そうして、俺の意識はぶつりと途絶える。
――そして、翌朝。
シンジもミエルもその場から忽然と消え失せていたのだった。