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【カード名:落涙の赫怒龍・Trigger1】
【等級:中級】
【属性:炎】
【所持スロット:◆◆◆◆◆】
【種族:ドラゴン】
【戦闘力:3000】
【灼熱は全てを灰塵に帰すだろう。
敵はもちろんいずれは君すらも分け隔てなくだ。
その選択は間違っていない。
しかし、未来はまだ確定していない。
可能性の龍は君と共に貌を変えるのだから】
【???】
長い歴史を誇り膨大なカードプールを持つトレーディングカードゲーム【Battle with a million worlds】。
その中にこんなカードは存在しない。
万を越えるカードの種類、その全てを事細かく記憶してるかと言われれば否だが断言出来る。
こんなカードはバトミリに存在しない。
トレーディングカードゲームをプレイする上でカードプールの把握は基本中の基本。
各カードの細かな詳細は飛ばし大体で覚えて頭に叩き込んでおく。
英語の勉強で英単語を詰め込むのに近い作業かもしれない。
野良試合で相手がマイナーなカードを出してきても即座に対応する為の対抗策にもなる重要な作業。
そんな他人からは無駄と見て取られる行動をしてるから初見のカードだと断言出来る。
それに一番の理由は目の前でカードが書き変わったからだ。
……あの雪山で何も出来なかった時、カードがひとりでに手元に飛んできてまったく新しいカードに書き変わった。
カード名からイラストからフレーバーテキストと瞬時に変化し脳内に直接情報として流れ込んできた。
「……【落涙の赫怒龍・Trigger1】」
この世界で初めて召喚し長らく置物として放置してたドラゴンはいまや立派な相棒となっていた。
アイツがいなけりゃ俺はこんなに活躍出来てない。
「迎えに行ってやるか」
冒険者ギルドを出て俺は街の外に向かうことにした。