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第弐話  人間界の始まり

「んむぅ〜…。ありえない時間だな……」


雲一つ無い抜けるような青空の朝。俺は何となく朝早く起きてしまったため、いつもよりかなり早くに家を出てきてしまった。

そしてこれまた何となく、今日は何か波瀾万丈的なことが起こるような気がした。

いつもは人混みでにぎわう筈の通学路も、今は俺も入れても十人居るか居ないかくらいに減っている。

別に話す相手もいないし、一人でのんびり黙々とあ――違うからね!?友達はちゃんといるからっ!ただここにいる俺以外の人全員二・三年生ってだけだから!



…………………………………………………………………ハッ!?いけねぇ!少しトんでた!



「…………んっ?もう着いたのか?」


思わず独り言を言ってしまった。どうやら俺がトんでいる間に、もうここ《彪霧学園》(ひょうむがくえん)についてしまったようだ。

校庭へと足を踏み入れると朝から大きな声を出してるという俺には絶対できないであろう事を平気でやってのけてる野球部の皆々さまがいた。朝から元気だね〜。

あちこちから飛んでくるボールを避けながら、俺は上履きをはいてさっさと階段を上り、自分の教室へと向かった。


「(ガラガラッ)おはよ〜」

「(ビクッ!ササッ)お…おは〜……」

「んっ?良磨。お前今、なんか隠さなかった?」

「ん…んなことないぜよっ。」

頭を大げさに降って否定する良磨。こいつがこのポーズをとるということは、たいてい嘘をついてる時だ。


「そうか……なにも持ってないならしょうがねぇな」

「やっと分かったか。それならいいぜよ」

「だな。俺が悪かったよアッハッハッハ」


俺と良磨の二人が愉しげにが笑いあう。本当に愉しげに。


「ふっ。油断したな!そう簡単に食い下がってたまるか…よっ!」

「あっ―――」


油断した隙に後ろに隠してあったものを奪い取った。

この勝負……俺の勝ちだっ!

そして俺は、良磨から奪ったものを見て、絶句した。

…え〜、薬師寺良磨(やくしじりょうま15歳。身長が170センチメートル強と軽くでかく、なぜかピッキングやら何やら犯罪臭のする事を簡単にやってのける。本人いわく

「掛け算よりも簡単ぜよ!」

とか言ってるが、掛け算の方がはるかに簡単な気がするのは俺だけだろうか……?

更にこいつはほとんどの言葉の語尾に『〜ぜよ』を付けて話したり、あ行のうの字を伸ばす癖があるというある意味特典満載の俺の悪友だ。

しかし、今となってはそんなことは関係ない。

なぜなら、その悪友が…悪友が――


―――CCDカメラと、小型集音マイクを所持していたからだ。


「お前何やってんだ――――――――――!!!!??」
















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