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第82話 グリフィント領

 レオリア国内は比較的安全に進むことが出来た。

それも、レオリア内ではヴィムの事を知らない人の方が少ない。

自分から絡みにはあまり行きたく無いのだろう。


 街を何個か通り過ぎ、四日が経過しようとしていた。


「間もなくグリフィント皇国の領内に入ります」


 御者台の方から声が飛んできた。


 ヴィムは窓の外を見る。

そこには、国境を越える為の検問が行われている。


 検問所に到着すると、すぐにヴィムたちの馬車の順番が回ってきた。


「こちらの家紋はレオリア王国王家のものとお見受け致します。失礼ながら、身分を証明するものはございますか?」

「これでいいかな?」

 

 ヴィムは馬車から顔を出すと、Sランクを示す冒険者カードと王家の家紋が描かれたカード、それからレオリアの大使として皇都に向かっている事を証明する国王のサインが入った書簡を提示した。


「あなたが、有名な深淵の魔術師殿でしたか。失礼しました! お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 検問所の騎士が勢いよく敬礼をする。

馬車は再び進み始めた。


 窓の外から見える景色はレオリアとまだそんなに変化がある訳ではない。


「ここからが長いみたいだな」


 国境から皇都まではかなり距離があると聞いている。

今、国境を越えたばかりなので、まだまだ長旅になる事だろう。


「今日はメールの街まで進む事を予定しています。そこで一泊してまた朝から出発します」


 対面に座っているカミル団長が言った。


「分かりました。異論はありません」


 外を見ると日が傾き初めている。

完全に暗くなる前にはメールの街に到着するという計算だろう。


 そこから数時間、馬車は走った。


「メールの街が見えてきました」


 再び御者台の方から声が飛んできた。

街の規模としてはそこまで大きくはなければ小さくもないと言ったところだろう。

ごく一般的な規模の街である。


 手続きを済ませて街に入ると、今日宿泊する宿に向かった。


「お疲れさまでした。ゆっくり休んでください」

「ありがとうございます。カミルさんも出来るだけ休んでくださいね」


 護衛として同行している訳なので、騎士団の人たちはずっと気を張っている事だろう。


「ありがとうございます。我々は交代で休みますのでご心配なく」


 そこまで聞いてヴィムたちは馬車から降りる。


「ん?」


 馬車から降りた瞬間、ヴィムは後方斜め上に鋭い視線を送った。


「ヴィムさまどうしましたか? 怖い顔してますけど」


 その様子を見たハナがヴィムに尋ねた。


「いや、今視線を感じたんだ。それも結構嫌な感じの」

「私は、何も感じなかったですよ」


 それを聞いたミサが言った。


「私もです」


 ハナもそれに同意する。


「俺の勘違いかもしれない。すまんな」

「いえ。ヴィムさんが感じたなら一応注意しといた方がいいかもしれません」

「そうですね」

「まあ、とにかく休もう」


 ヴィムたちは宿に入って言った。

 

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