第53話 帰還
翌朝、いつもより少し早い時間にヴィムは目を覚ました。
今日は、王都へと帰還する。
「おはようございます」
ヴィムが身支度を済ませて部屋を出ると、すでにハナは準備を済ませていた。
「おはよう」
そう言って、ヴィムたちは宿の外に出た。
そこには、来たとき同様の馬車が数台並んでいた。
「ヴィム様、おはようございます。ヴィム様たちはこちらの馬車にどうぞ」
カミル騎士団長に促されて、ヴィムたちは馬車に乗り込んだ。
「では、出発します」
カミル団長の言葉で、馬車はゆっくりと動き始める。
やがて、ラーディアの街を抜けた。
「今回は本当に助かりましたよ」
「いえ、正当な報酬はもらっていますし、お役に立てたなら何よりです」
馬車の中でそんな会話をカミル団長と話しながら進んいく。
正直、馬車での移動中はこれといってやることは無いので暇なのである。
なので、自然と会話が増えていく。
帰る時も来たとき同様、魔獣の少ないルートを通っていくようである。
ヴィムの索敵魔法には特に危険な気配は感じ取れなかった。
多少の魔獣なら殺気を向けたら引っこんでいくのだ。
そんなことをしているうちに街を2つほど通り過ぎた。
ここまで来たらもう少しで王都に到着することだろう。
少し日は傾き始めたが、完全に暗くなる前には王都に入れるはずだ。
「ヴィム様、もうすぐ王都に入りますよ」
うとうとしていた時、カミル団長が言った。
目を擦って、馬車の外を見ると、そこは見慣れた光景が広がっていた。
「やっぱり王都が1番だな」
王都はすごく便利だ。
お店も色々あるし、ギルドでも毎日沢山の依頼が持ち込まれている。
多分、一度王都に住んでしまったら他には行けないだろう。
ヴィムはそんな感じがした。
「それでは、お疲れさまでした。また何かありましたらよろしくお願いします」
カミル団長はヴィムの屋敷の前まで馬車で送ってくれた。
「わざわざありがとうございます。もちろんです。何かあればまた声をかけてください」
そう言うと、馬車はヴィムの屋敷の前から動き出した。
それを見送ると、ヴィムたちは屋敷へと足を踏み入れる。
「やっぱり、我が家が1番だよな」
「そうですね」
ヴィムが玄関を開けると、ジェームズとアーリアが出迎えてくれる。
「「おかえりなさいませ」」
「ああ、ただいま。俺たちが居ない間何もなかった?」
「はい。今回は何事もございませんでした。お二人ともお疲れでしょう。お食事を用意しております」
ジェームスが言った。
「うん、ありがとうね」
ヴィムはローブを脱いで、アーリアに渡した。
そのまま、リビングへ向かうとそこには豪華な料理が並んでいた。
なんだかんだ言っても、自分の屋敷で食べるのが1番落ち着くのである。
ヴィムたちは食事を進めて行った。
しばらくして食事を終えると、ジェームズがヴィムの元にやって来た。
「旦那様、王宮より書簡が届いております」
「ありがとう」
ヴィムはジェームズから書簡を受け取ると、中身を確認する。
そこには、明日時間があればハナを連れて王宮に来てほしいと書かれていた。
元々、報告で王宮にいくつもりだったので、明日王宮に行くことが決定した。
最近、すごく暑くなって来ましたね。
作者は暑さにやられています。
すっかり引きこもり生活です。
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