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第21話 ヴィムの思惑

 屋敷に入ると、アーリアとジェームズが出迎えてくれる。


「ただいまー」

「お帰りなさいませ。ギルドマスターはどうでしたか?」


 ジェームズがヴィムに尋ねた。


「まあ、第一印象は悪くないかな。あの人ならうまくやっていけそうな気がするよ」

「左様でございますか。それは良かったです」

「ああ、まだ話がわかる人間がいて助かったよ」


 ヴィムは羽織っていたローブを脱ぎながら言った。


「これ、洗濯頼む」

「かしこまりました」


 アーリアが俺のローブを受け取りながら言った。


「なんか一日で色々あった気分だな」


 ヴィムはリビングのソファーに体を預けた。

時刻はもう、夕方である。

ギルマスとの話はすんなり終わったのだが、その後ギルドの職員から質問攻めに合っていた。


 そんなことをやっていたらもう、空は茜色に染まり、やがて暗闇が顔をのぞかせる。


「今日はもう、お休みになられますか?」


 アーリアがヴィムに尋ねた。


「うん、そうだね。ご飯食べたら休むよ。明日は明日で行きたいところがあるし」


 ヴィムはすでに明日のスケジュールは決めていた。


「かしこまりました」


 それから、すぐに夕食が準備された。

相変わらず、うちの料理人は腕がいい。

出された料理はすぐに食べ終えてしまった。


「ジェームズ、ちょっといい?」

「はい、なんでございましょうか」


 掃除をしていた手を止めて、ジェームズが振り返った。


「ごめんね仕事中に」

「いえ、旦那様の御用を聞くのも私の仕事ですので」


 ジェームズは姿勢をピシッと正した。


「冒険の仲間にするのに、奴隷を買おうと思っているんだけど、もしジェームズの知り合いに奴隷商が居たら紹介してくれないかな?」

「かしこまりました。明日の朝食の時に知り合いの連絡先を書いたものお持ち致します」

「うん、ありがとう。助かるよ」


 やはり、ジェームズの知り合いには奴隷商が居るらしい。

本当、このネットワークは流石としか言いようがない。

きっと、どんな要望にも応えられるようにとしてきたのだろう。


「にしても、冒険のお供に奴隷ですか」

「ああ、下手な冒険者よりはいい働きをしてくれる」


 奴隷と聞くと、悪い印象を持つかもしれない。

しかし、その生活水準は一般市民とほぼ同じものを保証されているし、奴隷商は国からの営業許可を貰わないと営業を禁じられている。


 中には闇奴隷商と言われる違法な奴隷商も存在するので、できるだけ信用できるところから買いたかった。

そのため、ジェームズに紹介を求めたのである。


「冒険者よりもですか」

「ああ、冒険者は勝手に動いてこっちの言う事を聞かないなんてこともあるが、奴隷なら違うだろ?」

「なるほど。左様でございましたか」


 冒険者というのは自分の技術と知識を過信している人間が多いように感じる。

それが悪いこととは言わないが、命取りになることは事実である。


 その点、奴隷はこちらのいう通りに動いてくれるし、自分の技術を過信するようなことも少ない。

自分勝手なことされたら足手まといにしかならないのだ。


「じゃあ、よろしく頼むよ。ジェームズも早めに休んでね」

「かしこまりました。ありがとうございます」


 そう言うと、ヴィムは自分の部屋へと向かった。

そこから、ベッドに入ると目を閉じる。

やがて、意識を手離した。

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