第18話 ギルド本部へ
一度、屋敷に戻ると昼食を取る。
この何でもやってくれる生活を送って行くといよいよダメになりそうな雰囲気まである。
「午後からのご予定はどうなさいますか?」
ヴィムの後ろに立っていたアーリアが尋ねてきた。
「ギルド本部に行こうと思っているよ」
「かしこまりました」
Sランク冒険者に認定されたのはいいが、ここのギルドマスターにまだ挨拶もしていなかった。
認定式の時にちらっと顔を合わせた程度である。
「できれば、案内してもらえると助かる」
「承知しました。私がご案内いたします」
今度はアーリアが案内してくれると言った。
この国の王都はまだどこに何があるかもわかっていないという状況だ。
徐々に慣れていかねばならないとは思っているが、まだインプットしていく時期だろう。
「私はいつでも行けますので、ヴィム様の準備が出来たらお声かけください」
「分かった。ありがとう」
ヴィムはリビングから出ると、自分の部屋に戻ってローブを取ってきた。
まだリビングに居たアーリアに声をかけ、ヴィムはアーリアと共に屋敷を出た。
「では、参りましょう」
「うん」
アーリアは屋敷を出ると、スタスタと進んでいく。
「こちらが、我が国のギルド本部になります」
体感としては10分と少しでギルド本部に到着した。
改めて思うことは、あの屋敷の立地の良さである。
ギルド本部までこの距離なのは冒険者としてはありがたかった。
「アーリアは帰っても大丈夫だよ。道は覚えたから」
「しかし、ヴィム様の身にもしものことがあったら……」
「大丈夫。俺、強いから」
ヴィムは微笑みを浮かべながら言った。
「かしこまりました。では、お気をつけて」
「うん、案内してくれてありがとう」
メイド服姿の女の子を連れて歩いたらギルド内では目立ちすぎる。
ただでさえ、目立っているので今更かもしれないが。
ヴィムはギルド本部の扉を開けた。
ギルド内では殺伐とした空気が流れている。
これはどこのギルドも変わらないらしい。
「ギルドマスターに挨拶がしたい」
ヴィムは空いていたギルドの総合窓口の女性に言った。
「失礼ですが、貴方は?」
「ヴィム・アーベルだ」
ヴィムはローブの中からSランク資格を示すギルドカードを提示した。
「し、失礼しました。すぐにギルマスに確認して参ります」
受付嬢は『離席中』の札を置くと、奥へと向かって行った。
その間、俺には注目の視線が集まっていた。
流石に声をかけてくるような強者はいなかったが。
「お待たせいたしました。ギルマスがお会いになるそうです」
しばらくして、先程の受付嬢が戻ってきて言った。
「そうですか。ありがとうございいます」
「ご案内させていただきます」
ヴィムは受付嬢に先導され、ギルドの階段を上がって行った。
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