第15話 屋敷と使用人と
陛下との話も一段落し、ヴィムは従者の一人に自分の屋敷まで案内される事になった。
「こちらでございます」
王宮から20分ほど歩いただろうか。
従者は立ち止まり、屋敷の方を手で指した。
「え、でか……」
そこは貴族街の外れではあるが、立地的にはかなりいいと言える。
それに加えて、一人では持て余すほどの豪邸であった。
「私はこちらで失礼いたします。今後は、ヴィム様の従者がご案内すると思いますので」
「分かりました。ありがとうございます」
陛下の従者が綺麗に一礼すると、その場を離れて行った。
「さてと、突っ立ってても仕方ないな」
ヴィムは屋敷の中へと足を踏み入れた。
すると、燕尾服を来た男性とメイド服姿の女性が立っていた。
「お待ちしておりました。私、アーベル家の家令を務めるよう、申受けましたジェームズと申します」
綺麗に燕尾服を着こなしている。
黒髪に白髪混じりの感じからするに60歳前後といった所だろうか。
「メイド長を務めます、アーリアと申します」
こちらは20代前半の女性だ。
赤髪をポニーテールにしている。
色白で胸は大きくて美人と言えるだろう。
「ヴィム様の使用人は私たち二人となりますが、今後増やしていくことも可能です」
「私がヴィムさまの身の回りのお世話をさせて頂きますので、遠慮なくお申し付けください」
アーリアが言った。
こんな美人にお世話してもらえる日が来るとは人生捨てたもんじゃないと思う。
「ヴィム・アーベルです。よろしくお願いします」
ヴィムは軽く頭を下げた。
「では、まずはヴィム様のお部屋にご案内しますね」
アーリアがヴィムを部屋へと案内する。
「こちらになります」
そこは、2階の突き当たりの部屋であった。
部屋はそれなりの広さがあり、一人では持て余すくらいの部屋であった。
「私はあちらの使用人室に24時間おりますので、何かありましたらお呼びください」
アーリアとジェームズは住み込みの使用人らしく、24時間この屋敷に居るらしい。
「分かった。ありがとう」
「いえ、それでは夕食の時間になりましたらお呼びしますので、おやすみになっていてください」
「そうさせてもらうよ」
ヴィムは部屋の中に入ると、とりあえずベッドに横になってみた。
このベッドも中々フカフカしていて気持ちがいい。
「ちょっと休んでおくか」
色々疲労は蓄積しているので、ヴィムはベッドの上で目を閉じた。
そして、すぐに意識を手放した。
♢
「ヴィムさま、お食事の準備ができました」
数時間後、ヴィムはアーリアの声で目を覚ました。
「分かった。すぐに行く」
「かしこまりました」
ベッドから起き上がると、部屋を出て一階のリビングへと向かう。
そこには何やらいい匂いが漂っていた。
「お、美味そう」
「恐縮です」
コック帽を被った金髪の男性が言った。
「ご挨拶が遅れました。料理長のジョーダンです」
さっきは料理の仕込みをしていて手が離せなかったらしい。
「ありがとう。早速頂くよ」
ヴィムはテーブルについた。
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