第144話 実践へ
翌日、ヴィムたちは指定した集合時間にギルド本部へと向かった。
ギルドにはすでにCグループのメンツが集まっていた。
「おはよう、みんな」
「「「おはようございます!!」」」
講習生全員の挨拶が返って来る。
「では、今日はこれをやりましょう」
ヴィムは先ほどギルマスから掻っ払ってきた依頼書を見せた。
そこには、グレーウルフ五体討伐と書かれていた。
初心者の冒険者にはちょどいいくらいのクエストであろう。
「大丈夫かな……?」
「私たち、まだ魔獣の討伐クエストはやったことないもんね」
ララとメアリが言った。
「僕らが昨日言ったことを意識しながらやれば大丈夫だ。みんなそれぞれ長所があるから、それを活かし合っていこう」
「本当に危険が迫った時は、私たちで対処しますからね」
ヴィムとミサの言葉で、講習生たちは少し安心したようである。
「それなら、大丈夫かもね」
「うん、そうだね」
チカゲとレートが言った。
「じゃあ、早速行こうか」
ヴィムたちはグレーウルフが生息している、西の森へと向かった。
目の届く所に講習生を置けば、万が一の時はすぐに助けに入れるだろう。
王都を出て数十分歩くと西の森に到着する。
「おお、ここが西の森なのか。こっちは初めてきたぜ」
ザックが森を見上げるようにして言った。
採取のクエストなどがあるのは、基本的に東の森なので、西の森には初心者のうちはあまり来ないのだろう。
「今回の討伐対象ではない魔獣もいますので、気をつけてくださいね」
ミサが講習生たちに忠告を入れる。
「はい、やっぱり緊張はしますね……」
チカゲが拳をぎゅっと握り締めて言った。
これが、初めての魔獣を討伐するクエストなのだ。
緊張しない方がおかしいだろう。
ヴィムも、初めて魔獣を狩りに行った時は、随分と緊張したのをまだ鮮明に覚えている。
ヴィムを先頭にして、森の中を進んでいく。
「この辺りかな」
森の中の少し開けた場所で、ヴィムは立ち止まった。
「先生、ここにウルフがいるんでか?」
レートが尋ねてきた。
「うん、確かこのあたりがグレーウルフの生息域で縄張りだったはずだ」
「まさか、魔獣の生息域だけではなくて縄張りまで把握しているんですか!?」
メアリは驚いたように言った。
「うん、そうだね。大体は頭に入っているかな」
魔獣にはそれぞれ生息域と縄張りというものが存在する。
グレーウルフなんかはそれが顕著に現れるため、わかりやすい方である。
「さすがはSランクの冒険者は違いますね」
生息域までは覚えていても縄張りまで覚えている人間はそうはいないだろう。
「まあ、覚えてしまった方が楽なんででね」
ヴィムはその場で索敵魔法を展開する。
「さて、そろそろ来そうだぞ」
索敵魔法に魔力生命体を感知した。
この反応と、スピードから考えて十中八九、グレーウルフだろう。
「いよいよ本番なんですね」
講習生たちは身構える。
「ちょと量が多いので、間引きはしますよ」
討伐の依頼は五体だが、索敵魔法にはそれ以上の反応があった。
ヴィムは講習生たちからは少し離れて、いつでも魔法を打てるようにするのであった。
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