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第103話 ギルド総括

 陛下は続けて口を開く。


「次にハナ・シャロン」

「はい」

「此度の働き、高く評価する。貴殿にAランク冒険者の称号を授け、奴隷身分の破棄を宣言する!」


 陛下はここに居る全員に届くように、重たく、そして声を張って言った。


「あ、ありがとうございます。拝命致します」


 ハナは冒険者資格を有していたのだが、立場は奴隷というものだった。

しかし、この瞬間にその身分を捨てることができたのだ。


 それも、一国の国王という強い後ろ盾を持って。

これに文句を言える人間は、少なくともこの謁見の間には居ないだろう。


「そして、最後にヴィム・アーベル」

「はっ」


 陛下の口角が一瞬上がったのが見えた。

こういう顔をする陛下は大体ロクでもないことを考えている時である。

そうでなければ、わざわざ謁見の間で国の重鎮たちを集めてやらないだろう。


「此度は我が国に迫る窮地を救ってくれたこと、誠に感謝する。その働きは高く評価してしかるべきだろう」

「ありがとうございます」

「ヴィム・アーベル、貴殿を本日付けでレオリア王国ギルド総括を任命する」

「は、拝命致します」


 苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてヴィムは言った。

この状況でこれを断れる人間がいるのなら、それこそ勇者と言って拍手を送ってやろうと思う。


 ギルド総括、ギルドマスターよりも上の役職である。

ギルドマスターはあくまでも王都ギルド本部の責任者である。

総括というのは、一国の全てのギルドを指揮することが出来る立場。

つまり、国全てのギルド責任者ということである。


 総括のポストがずっと空席になっているというのは聞いていた。

それもそのはず、冒険者のトップとなるにはそれに匹敵するような確固たる実力が必要なのだ。

そんじょそこらの人間が座れる席ではない。


「以上、三点全てレオリア王国国王としての宣言である! これにて謁見を終了する」


 陛下の言葉によって謁見が終了し、立場の高い順に謁見の間を後にしていく。

ヴィムたちも謁見の間を出ると、すぐに王宮の従者に捕まった。


「陛下が個人的にお会いしたいそうです。こちらへ」

「ですよね」


 毎度のことだが、ヴィムは何も聞いていない。

勝手に色々進められていたのだから、こっちも言いたいことがあるというものである。


「ヴィムさまたちをお連れいたしました」

「入ってくれ」


 応接間に入ると、そこには陛下とエリン王女の姿があった。


「ギルド総括就任おめでとう!」

「おめでとうございます!」


 二人とも笑顔を浮かべて言った。


「僕は何も聞いてないですけど」

「そりゃ、言ってないからな。ちょっとしたサプライズだ」

「そんなサプライズは要りませんよ。心臓に悪い」

「まあ、そんな顔せずに座りたまえ」

「失礼します」


 ヴィムたちは陛下の対面のソファーに腰を下ろした。


「では、今回の経緯について説明しようじゃないか」

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