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第10話 王女殿下と共に

 一国の王女様に頭を下げられるという謎の状況下にヴィムは陥っていた。


「ヴィム・アーベルと申します。頭を上げてください。私はちょっと手を貸しただけですので」


 そう言うと、姫様と執事さんは頭を上げた。


「しかしながら、先ほどの魔法は断絶結界だとお見受けしました。相当な魔術の使い手ですね」


 執事のジェフリーはヴィムの使った結界の種類まで見抜いたらしい。

やはり、王家の家令まで勤める人間は違う。

普通、あの結界が何を軸にしているのかを見抜けはしないだろう。


「よく分かりましたね。確かにあれは断絶結界を使いました。1番安全だと考えましたので」

「少々、目はいいものですので」


 目がいいからと言ってヴィムの魔法を簡単に見抜けはしないと思うが、これ以上突っ込むのはやめておこう。


「では、私は先を急ぎますのでこれにて」


 面倒ごとには極力首を突っ込みたくはなかった。


「お待ちください!」


 ヴィムがそそくさと立ち去ろうとすると、エリン王女に呼び止められた。


「私に何かご用でしょうか?」

「その、私たちと一緒に王都に来ませんか? ぜひ、お父様にも紹介させていただきたく存じます」

「しかし、私は通りすがりの魔術師ですよ?」

「いいえ、あなたは私の恩人です」


 王女にここまで言われてしまったら断る材料を見つける方が難しい。

所詮、ヴィムはただの平民上がりの魔術師なのである。


「分かりました。姫様がそこまでおっしゃいますなら、お言葉に甘えさせていただきます」


 余計なことをして立場を悪くすることはない。

ヴィムはエリンに従うことにした。


「よろしいですわ。馬車に乗ってくださいませ」


 エリンに促されてヴィムは豪華な馬車に乗り込んだ。

ここからレオリア王都まで、馬車だと半日といったところだろう。


「ヴィムさんは何であそこにいたんですか?」

「まあ、端的に話ますと帝国から逃げるためですかね」


 ヴィムはだいぶ大雑把に事情を話した。


「逃げる必要がおありだったのですか?」


 エリンは一瞬怪訝な顔をした。


「ええ、王女様を信用して話しますが、私は反逆者の罪を押し付けられました」


 一国の王女ならある程度の信頼は置けるだろう。

ヴィムは事情を話すことにした。


「帝国は私の力を恐れて無実の罪で幽閉しました。あの帝国は腐っている。だから私は国外に逃げようと考えました」


 帝国の現状を踏まえながら、ヴィムはエリンに説明した。


「サイラスはあまりいい噂を聞かないと思ったらそんな状況だったんですね」

「信じて、くれるんですか?」

「私は信じます。悪い人が人助けなんてしないと思いますから」


 エリンは優しい微笑みを浮かべながら言った。

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