第1話 最強は時に脅威となる
新作です!
楽しんで頂けたら幸いです!
「ヴィム・アーベル、貴様を反逆罪で幽閉する!!」
俺はいきなり言い渡されていた。
ヴィム・アーベル、サイラス帝国に使える宮廷魔術師だ。
その中でもマナの保有量は帝国一だと言われていた。
実力だけで宮廷魔術師になった男だ。
宮廷に仕えるにはそれなりの立場が必要だ。
ヴィムは魔術の腕を買われて先代の皇帝にスカウトされたのだ。
平民の出ということもあり、ヴィムへの風当たりは優しいものではなかった。
それが皇帝が代替わりしたことで加速したのである。
先代と違い、完全に身分主義なのが今の皇帝なのだ。
人格者と慕われていた先代皇帝の息子がこれとは先が思いやられる。
「私が何かしましたか?」
「貴様は我が国の皇帝に楯突いた。よって、反逆罪がかけられている」
公爵が険しい顔をしながら言った。
「はい?」
ヴィムは少し意見を述べただけである。
それで反逆と言われたらたまったもんではない。
「貴様を国外追放し、幽閉する。これは皇帝の命令だ」
公爵は皇帝のサインの入った命令書をヴィムの前に突きつけた。
「貴様の宮廷魔術師資格は剥奪し、一切の権限を無いものとする」
「まって……」
「言い訳は聞かない! 連れていけ!!」
公爵は近くに控えていた衛兵に向かって言った。
ヴィムは衛兵に拘束されると、宮廷から連行されて行った。
「来い!!」
宮廷内では魔法使用が禁止されている。
魔法を使用したら本当に言い逃れはできない。
「すまないヴィム。こうするしかなかったんだ……。お前なら、きっとなんとかしてくれると信じているぞ」
誰もいなくなった部屋で公爵は涙を浮かべた。
皇帝の命令は絶対だ。
公爵も立場上こうするしかなかったのだ。
どう足掻いてもこの状況を覆すことができなかった。
「全ての理不尽を叩き潰してくれ」
公爵は先代皇帝を支持していた。
代替わりしたとはいえ、皇帝を支持しなければならない。
下手をしたら公爵とはいえ、首が飛ぶことになってしまう。
公爵はその権限をすべて使う勢いでヴィムを庇おうとした。
しかし、貴族も豪族も皇帝を恐れて協力しようとはしなかった。
それどころか、ヴィムの力を恐れていて幽閉されるべきだと言う者も居た。
確かに、ヴィムの力は下手をすれば一国がひっくり返る。
だからこそ、皇帝はただの国外追放というのではなく、幽閉という手段を取ったのだろう。
貴族の出ならまだしも、ただの平民が規格外の力を持つということが現皇帝に取っては脅威だったのだろう。
味方にすれば強いが、いつ裏切られるか分からない。
だったら、幽閉すればいい。
バカが考えそうなことである。
しかし、貴族どもはそれに賛同したのであった。
「この国も腐っちまったかもな」
公爵は憤った。
夕方と夜で後2話投稿します!
【作者からのお願い】
スタートダッシュが肝心です!
書き溜めがあるのでしばらくは毎日更新します!
本日は3話まで更新する予定です。
その後、一週間は1日2話投稿します。
ブックマークへの登録や広告下にある☆☆☆☆☆からの評価を宜しくお願い致します!
執筆の励みになります!!