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くちづけ

作者: 新染 因循


どこからも遠い、ここへ

千々の風に吹かれてたつあなた

雲のようにおおくの面影をうつす

あなたへと伸ばされる

わたしの影、暴きたてられた白き砂、

ああ今ここに在らざる(ひと)


空はぽっかりと孔を開けたような色をして

わたしたちをもつれさせ

あなたをほぐしていく

白いさざなみのささやきは

担うにはかるく

放り投げてしまうにはおもい


月と手のうちの悠久という近しさを

海とよんでしまえれば

そしてその泡と波をかきわけて

断崖の彼方から伸ばされた

白くほっそりとした腕を

握りしめられるのに


眠っているのだろうか

あなたはその白い額をあらわにし

多くの隔てられたものたちがそうするよう

夜光貝のように夜の重みに身をまるめ

そよ風の在るところを思いながら

眠っているのだろうか


波はあなたの浜辺から

わたしの浜辺までをつなぎ

わたしたちは互いの額を水面につけ

だがここに在らざる(ひと)

そして波は渦を巻くレコードのように

わたしたちを巡る


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