第十二話 幸せは短過ぎて そのニ
「あの村の仕掛け……? あぁ、あれか」
私の問いに師匠はぽんと手を打ち、機嫌良く話し始めた。
「あれは思った以上に上手くいった。竜族に人間の力を見直させる必要があったから、国を出る少し前から準備をしておいたのだよ」
やっぱりか……!
「あの時は苦労したよ。竜に関する記憶を消すのは大した手間では無かったが、儀式舞踊は難儀した。なんせ魔力を与えなければ君のように辛さで辞めてしまうし、かといって育ち切ったら私も無力化されてしまうからねぇ。絶妙な頃合いを見計らうのがもう……」
「誇らしげに語る事ですか師匠!」
そのせいでルビナは……!
「その絡繰が竜皇国に知られたら、竜族総出で村を遠巻きに火を放つことだって有り得た! 村の人達を駒のように扱っておいて、人間の力がどうだのよく言えましたね! そのせいでルビナは三年も辛い思いをしていたのに、笑って語れる事ではないでしょう!」
「でぃ、ディアン様……」
「ふむ、他者から面と向かって怒鳴りつけられたのは、本当に久し振りだねぇ」
「……あ……」
ルビナと師匠の言葉で頭の血が下がる。まずい、師匠に真っ向から反抗してしまった……!
「君は普段は慎重で思慮深く、小心とさえ思える行動を取るのに、大事だと思うもののためなら立場も恐怖も力の差も置いて立ち向かえる。初めて会った時と変わらないねぇ」
「あ、その、すみません……」
「なぁに、そこを気に入って弟子にしたのだ。今更変わられても困る。それに」
師匠がルビナに目を向ける。
「我が姪は、私に立ち向かうに値するほど大事にされているようで、叔父としては嬉しい限りだ」
片目をつぶる師匠と、心配顔から満面の笑みに変わったルビナに、私は精神力の全てを傾けて何とか顔を抑え叫ぶのを耐える事が出来た。
恥ずかしいいいぃぃぃ!
顔色は赤→青→赤。
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