第十一話 恐怖の断罪 その一
前話までのあらすじ。
竜の娘の誇りを取り戻させようと尽力する小心者の騎士ディアン。酒のせいか、気の緩みからか、竜の娘を無理に酒に誘おうとする男を確認もせず懲らしめたところ、それは貴族出身の騎士団長であった。この危機を小心騎士は如何にして乗り切るのか。
それでは第十一話「恐怖の断罪」お楽しみください。
「ディアン・オブシ。騎士団の詰所に出頭願おう」
「承った」
「ディアン様!」
兵士に引っ立てられる私に悲鳴を上げるルビナ。
「大丈夫だルビナ、すぐに戻る」
「何を言っている! 騎士団長に手を上げて無事で戻れると思うなよ!」
あ! 馬鹿!
「ディアン様が、戻らない……? あんな男のために、そんな事……、許さない……!」
ルビナの全身が震える。腕が、足が、黒い鱗に覆われて肥大化していく!
『この者達のせいでディアン様がいなくなる……。ならばこの者達がいなくなれば、ディアン様はいなくならない……!』
「ひ、ひいいいぃぃぃ!」
「竜だ、竜だあああぁぁぁ!」
「待てルビナ!」
『滅びろ……!』
竜となったルビナの口腔に光が溢れる! まずい! この街が焼き釜になってしまう!
「よせ! ルビナあああぁぁぁ!」
街の運命やいかに。
読了ありがとうございます。