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第十話 月に叢雲、酒に陰 その二

「あらご機嫌ね」

「はい! お料理もお酒もとっても美味しくて!」

「そりゃあ良かった。でもご機嫌の理由はそれだけじゃないみたいね」


 女将がルビナの首元を指さす。目ざとい。


「はい、ディアン様に買って頂きました。私の宝物です!」

「いいねぇ旦那! 男冥利だねぇ!」


 ばしばしと肩を叩かれる。痛い痛い。


「もう一本どうだい?」

「ありがとう。いただこう」


 何でもう酒瓶持って来ているんですかね。

 確かに丁度頼もうと思っていたところだけど、この手際の良さは流石としか言いようがない。


「さぁさ飲んで飲んで! って言ってもあんまり飲み過ぎちゃいけないよ! 部屋に行ったらそのまま朝までぐっすりなんて事になっちまうからね!」


 むしろそれ狙い。

 そうじゃなければ酒なんて注文しない。

 勿論飲み過ぎて理性が無くなっても困る。

 ほろ酔い気分で眠気だけを誘う最適な量を見極める!


「はぁ……、いつまでも食べたくなる位美味しいですね」

「ルビナ、厚切り肉とどちらが好みだ」

「……決められません。厚切り肉は歯ごたえとお肉自体の美味しさがしっかりしていて、純粋にお肉を食べていると感じて美味しいですし、この挽肉焼きはディアン様の仰っていた通り、様々な部位の肉を合わせているからか味が複雑で、それが口の中で柔らかく解けていくのがたまらなく美味しいです」

「そうか」


 凄い。お店の料理の説明文に使ったら良いんじゃないかなこれ。

 とにかく気に入ったようで良かった。


「あ、お酒、無くなっちゃいましたね……」


 私の器に瓶を傾けたルビナが残念そうに言う。

 酒はこれで二本。料理も程よく片付いている。

 よし、ここだ!


「女将、そろそ」

「はいよ! これあたしからの奢り!」


 何ぃ!? 私の完璧な見極めが!


「美味しそうですね! これは何ですか?」

「三種類の茸を牛の脂で炒めた物さ。こいつと酒の相性は抜群なんだよ!」

「あ、でももうお酒は無くなってしまって……」

「……女将、もう一本だ」

「あいよ!」


 女将に乗せられた感がなくもないが、致し方ない。


「ディアン様、よろしいのですか?」

「女将の心遣いだ。無にするのも悪いだろう」

「そうですね! 心遣いですものね!」


 嬉しそうだなルビナ。

 まぁもう一本位なら大丈夫だろう。

 ルビナにちょっと多めに飲んでもらうとしよう。

旗が語りかけます 甘い! 甘すぎる!


読了ありがとうございます。

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