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第一話 小心騎士と竜の出会い その四

 部屋に戻って再度寝台に横になり、今持っている情報を整理する。


 一つ、竜が人間に捕まっている。

 二つ、竜は抵抗を諦め、大蜥蜴おおとかげとして生を全うする気でいる。

 三つ、竜皇国はこれを絶対に許さない。


 詰んでるうううぅぅぅ! これ完全に詰んでるうううぅぅぅ!


 いや待て! まだ幾つか分からない事がある!

 その理由如何によっては、もしかしたら何とかなるんじゃないか? というかなって欲しい!

 とにかく整理しよう。


 一つ、ここの村人が何の装備も無く竜を簡単に捕らえている事。

 二つ、竜を知らず大蜥蜴と誤認している事。

 三つ、あの竜が力を何故か失っている事。


 これらの事が自然に起こるとは考えられない。だとすればそれは誰のどのような意図か。


 村の人間、村長辺りか? 竜そのものを認識させずに村人に捕まえさせれば、鱗などの金になる物を独り占め出来る。

 だが竜の報復で村ごと滅びる危険性を考えたら、割りに合うとは思えない。


 逆に村に恨みを持つ者が、竜をけしかけて滅ぼそうと計画した可能性もあるか?

 ……低いな。回りくど過ぎる。竜を捕らえた事をそれとなく竜族に喧伝すれば良いだけの事だ。

 だが竜皇国の様子を見る限り、ここに竜が捕らえられている事は知らないようだ。


 ……無理だ。どこの誰かも分からない奴の意図なんて分かるはずもない。


「はぁ……」


 仕方ない。非常に危険だがあの竜を何とか解放し、口止めの上、竜皇国に帰すしかないだろう。


 しかしどうやって解放する? 大蜥蜴と言う誤認を解いて、竜は恐ろしい怪物だから解放するべきと言ったら、素直に解放してくれるだろうか?

 ……分からない。逃がしたら報復されるかも知れないと、竜を殺そうとするかも知れない。


 いっそ買い取るか? しかし一騎士である私が竜を買う理由は? 不審がられるに違いない。

 それに農作業をさせてると言っていたから、金で交渉できるだろうか? 代わりの労働力を求められたら厳しいものがある。

 その上今はさほど大金を持っている訳でもない。馬一頭分で済むなら何とかなる、か……?


「むぅ……」


 うまく引き取ったとして力を失った竜をどうすればいいのか? 力はどうすれば取り戻せるのか?

 万が一力が戻らなかった時、そんな竜を国に帰したら余計竜皇国を怒らせる事にならないか?


 ……駄目だ、情報が足りない。疲労で頭も働かない。明日だ。明日考えよう。私は目を閉じた。

深夜の考え事は、大抵「明日考えよう」で終わる。


読了ありがとうございました。

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