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第五話 守るべきもの その一

前話までのあらすじ。

失った竜の娘の誇りを取り戻すのが、思っていた以上に困難だと理解した小心者の騎士ディアン。不安を和らげるべく温かく受け入れる事を決めたが、思った以上に距離を詰められ、竜の娘への恐怖と仮の姿に昂る男の本能とに小心騎士は苦悩するのであった。


それでは第五話「守るべきもの」お楽しみください。

 朝食を済ませて街道に出る。朝の風が心地よい。


「良い天気ですね」

「そうだな」


 ルビナから自然に声をかけてきた。表情も柔らかい。

 昨夜の出来事はルビナの緊張を解いたようだ。

 怯えと不安に支配されていたこれまでから考えると、これは良い傾向かも知れないな。


「次の街まではどれくらいかかるのですか?」

「そうだな。今日の昼前には着けるだろう」


 ん? 何か引っかかりを感じる。

 振り返ると外套につながる白い手。

 視線で追うと、ルビナと目が合った。


「どうしたルビナ」

「あ、いえ、その……」


 悪戯いたずらとがめられた子どもの様に、目を伏せ手を放すルビナ。


「何か知らせたい事でもあるのか」

「な、何でもありません……」


 成程、子が親の服の裾をつまむのと同じか。

 不安から来るものか、関係性を確認したいのかは分からないけど、昨日決めた方向性からすると自立のためには受け入れるべきだろう。


「外套を掴まれた位で、私の行動は大して制限されない。好きにすると良い」

「は、はい! ありがとうございます!」


 おずおずと外套を掴むルビナの表情からは、喜びと安心が感じられる。

 安定につながっているのは良い事だ。

 それに隣にいる者の表情は、緊張や泣き顔より笑顔の方が良いに決まっている。


「おうおうおう、見せつけてくれるじゃねぇかぁ~」

「お熱いねぇお二人さぁ~ん」


 柄の悪い声。近くの畑から四、五人の若い男が集まり立ち塞がる。

 格好からして農家の息子だろう。

 農家や商家の三男、四男といった立場の人間は、家を継げないのに重労働を強制され、やさぐれる者が多い。

 村の狭い社会の中で暴れると最悪家を追い出されるので、そういった連中がはけ口に狙うのは、


「俺達は朝から畑仕事で疲れててよぉ~?」

「綺麗なおねぇちゃんに癒してほしいなぁ~?」


 私達のような旅人、ということだ。


「なぁに、昼位までには終わるからよぉ~」

「あんたは黙って川でも眺めてろよぉ~」


 何を求めているかは簡単に想像できる。

 暴力で懲らしめてやりたい衝動に駆られるが、私の剣の腕では無傷で切り抜けるのは難しい。

 うぅ、ここは出費が痛いが金で解決するのが一番か……。

あ! やせいの ぐれんたいが あらわれた!


読了ありがとうございます。

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