第四話 闇の中の光 その三
しばらくしてルビナの嗚咽は収まり、ぐすぐすと鼻を鳴らす音がし始めた。
「落ち着いたか」
「……はい、あの、申し訳、ありません、でした……」
日が落ちて宵闇が広がり、ルビナは俯いているのだが、その顔が羞恥に染まっているのが分かる。
「火を起こそう」
「は、はい」
こういうのは触れないに限る。
足元の枝をいくつか組み、火打石を腰の袋から出して火を点けようとするが、うーん、手元が見づらい中ではなかなか点けられない。
……そうだ!
「ルビナ、魔法で火を起こすことはできるか?」
「は、はい。お任せください。『炎よ、木に火を点せ』」
ルビナの指先から炎が走り、小枝に燃え移る。
更に枝を加えていくと、ぱちぱちと乾いた音を立て始めた。
「見事だ。これから火起こしはルビナに頼むとしよう」
「分かりました。ありがとうございます」
嬉しそうに頷くルビナ。
よし、これでルビナの自信も少し、は……。
「……ルビナ、随分多く薪を集めてきたのだな……」
点いた火に照らされて見える、ちょっとした荷車なら埋めてしまいそうな薪の山。
「はい、両手で抱えられる位と仰られたので、魔力を駆使して集めて参りました」
両手で抱えるって竜準拠じゃないよ! あの短時間でここまでできるのルビナ!?
竜族は魔力の扱いが長けている者程高位を認められると言う。
どんな魔法を使ったか分からないし、それが竜族の中でどの程度評価されるのかも知らないけど、もしルビナが高位竜族だとしたら……。わぁ背筋が寒ぅい。
「見事だ」
「ありがとうございます」
さっき責めたり突き放したりしてたらルビナはどういう行動に出たのだろうか。
考えるとどんなに火を焚いても寒気が止まらなくなりそうなので、私は焚火に集中する事にした。
竜って凄い、改めてそうおもった。
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