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第二十話 さらば小心騎士よ その七

 落ち着け私! ルビナとは、触れるべきではない話題から守るという約束があるじゃないか!

 それを盾にすれば今後も聞かれる心配はなくなって


「失礼します」


 扉を叩く音と共におとないの声。

 将来までルビナと私を守るくさびを打とうと思ったところで何で!?

 しかし私達の処遇についての話をしに来たであろう人を待たせる訳にもいかない。


「すまないルビナ。今の話はまた今度にしよう」

「分かりました」

「お入りください」


 鍋を火にかけたままの様な落ち着かなさを隠して返事をすると、見知った顔が入って来る。


「やぁディアン。さっきはお疲れ様」

「ラズリー。君がわざわざ来るとはな。話はまとまったのか」

「まとまったと言うより、陛下が無理矢理まとめたと言う方が正しいね。あの頭の固い大臣連中は右往左往するばかりで何も決められやしないんだから」


 ラズリーはそう言って肩をすくめる。

 外務大臣補佐の立場で大臣を批判してはばからない。

 相変わらずだがこう言った不測の事態では頼もしい。


「ディアン様、この方は……」

「あぁ、紹介しよう。ラズリー・ラッピス。侯爵家出身の貴族にして、私の騎士訓練生時代の友人だ」

「友人だなんて紹介はいささか不本意だね。親友と呼んでくれたまえ」


 悪友と呼ばないだけ感謝してほしい。


「見ての通りの変わり者だ」

「ちょっと待て。僕のどこが変わり者だ。至って普通のどこにでもいる貴族じゃないか」

「貴族がどこにでもいてたまるか。そして侯爵家の人間なのに、身分を隠して試験を受けて騎士になった人間を普通とは呼ばない」

「ひっどいなぁ」


 しかしこの貴族らしくないところが、私と気が合う部分なのだろう。


「えっと……」


 あ、ルビナが戸惑ってる。

 そうか、こう言う冗談めかしたやり取りも、嘘の無い竜族には馴染みが無いのかも知れない。

 とすると、え、正直に言わないといけないのか?


「……ラズリーは私の数少ない、心から信頼のおける友人だ。安心すると良い」

「わお! ディアンがそんな事言ったの初めてだ! 何か嬉しい! 新鮮!」


 はしゃぐな!

 だからこいつにはあまり正直な気持ちを伝えたくないんだ!

 これからしばらくこの事でからかわれるな、畜生。


「そうなのですね。初めまして、ラズリー・ラッピス様。ルビナと申します」

「初めましてルビナ様! ディアンの親友、ラズリーです! 様など付けず、気軽にラズリーとお呼びください!」

「分かりましたラズリーさん。私も様など付けずにお呼びください」

「それは有り難い! ではルビナ嬢とお呼びしてもよろしいですか?」

「はい、ラズリーさん」


 軽薄で女ったらしのラズリーの本領発揮だな。

 色々な人に触れさせて私への依存を薄めたいが、ラズリーはあまり適す気がしないなぁ。

 おっと、とにかく今は今後の話をしなくては!

次回最終話にして新しい登場人物を出す暴挙。


読了ありがとうございます!

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