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第二十話 さらば小心騎士よ その一

前話までのあらすじ。

特使としての役目を何とか果たした小心者の騎士ディアン。しかし今度は竜の娘の成竜になるのを手伝う事になった。それさえ終われば平穏な日々に戻れると思っているが、周りはそう思っていない様子。小心騎士は果たしていつ諦めるのだろうか。


それでは第二十話「さらば小心騎士よ」お楽しみください。

「騎士ディアン・オブシ。顔を上げよ」

「はっ」


 顔を上げた先には国王陛下。そして居並ぶ重鎮達。

 あああぁぁぁ緊張するうううぅぅぅ!

 特使の時にもこの謁見の間に呼ばれたけど、私みたいな商人上がりの下級騎士には、こんな場面は慣れるものじゃない!

 竜皇国では丸太渡りのような、一歩間違えれば死ぬと言う緊張だったけど、王宮ではまた違う緊張感が身体を強張らせる。


「竜皇国への特使、ご苦労であった。さ、親書を受け取って来たのだろう。こちらへ」

「はい」


 親書を差し出す。受け取った衛兵が、お抱え学者に渡す。

 竜皇国の言葉を翻訳できるのは、師匠の弟子である私と彼を含めこの国には十人と居ない。

 難しい顔をしながら読み進める学者の目が、大きく見開かれた。そりゃ驚くだろうな。


「な、何だこの内容は……!」

「な、何が書いてあるのかね」

「……よ、読み上げます」


 場の空気が緊張に包まれる。

 変に引き伸ばさないで早く読んで。

 私の心がその緊張に耐えられない。


「王国の諸君、我が娘の救出と保護に感謝の意を表する。この度の件を機縁として、竜皇国と王国との友好関係を構築する事を望む。それに当たり、親善大使として我が娘を王国に送る。また、王国側の親善大使として、騎士ディアン・オブシを、推薦、する……。以上です……」

「!?」


 一気にざわめき始める重鎮の皆様。それはそうだろう。

 私だってここまでの成果が得られるとは思ってなかった。

 ルビナを見つけた事を当初は不幸だと思っていたけど、結果として幸運に繋がった。

 私って結構幸運の星の元に生まれたのかな、なんて思ったりして。


「ディアン・オブシ、貴様……!」


 あれ? 何この空気。

 国王陛下は失望、大臣達は怒り、学者は恐怖でそれぞれの顔を染めている。

 何で? ここはよくぞここまでの事を、って褒められる場面じゃないの?

 幸運の星はどこに行ったの?


「親書を偽るなど、許される罪ではないぞ!」


 えええぇぇぇ!?

可愛くて健気な女の子に好かれてるんだから、もうそれで良いじゃない(幸運の星談)。


読了ありがとうございます。

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