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第十九話 旅の終わり その三

 皇子はルビナを一度身から離すと、うやうやしく頭を下げた。やめて!


『騎士殿、本来ならば、私以外に恩赦を受けた者も直接お礼を申し上げるところですが、騎士殿は大勢の竜族に囲まれるのは望まれないとの事でしたので、私が代表してお礼に伺いました』

『お心遣い感謝いたします』


 いや本当に。

 これ以上お礼を言われるのも、多数の竜と関わるのも勘弁してください! お願いします!


『騎士殿、私に出来る事がありましたら、何なりと仰ってください。出来る限りお力になるとお誓い申し上げます。恩赦を頂いた者も同じ思いでございます』


 謹んでお断りしたいいいぃぃぃ!

 ルビナの力だけでも手に余るんだから、これ以上竜の力は結構です!

 こんな事知られたら王国の貴族達から絶対目を付けられる!


『感謝いたします。ですが私は人間の身、どうかお心遣いまでに』

『何を仰いますか。騎士殿は先代の竜皇様でもいらっしゃいます。何を遠慮する必要がありましょうか』


 そう言えばそうだったあああぁぁぁ!

 地位のせいで断れないってどういう事だよ!

 偉くなると地位に縛られるって言うけどこういう事か!? 違うか!


『……ありがとう、ございます。心強く思います』

『貴方のお力になれる機会をお待ち申し上げております』


 そんな事態、絶対に起こって欲しくない!

 複数の高位竜族の力を借りなきゃ解決できない事態って、国を相手取って真っ向喧嘩でもするのか私は!


『では竜皇陛下がお待ちです。こちらへ』

『分かりました。その前に服を替えてもよろしいですか』

『あぁ、人間は場面によって装いを変えるのでしたね。分かりました。お待ちします』

『ありがとうございます』


 竜には服、と言うか身を装う習慣がないからな。

 全身を覆う鱗が、鎧であり正装といったところだろう。こうやって理解してくれるだけ有り難い。

 えっと荷物は……。


「ディアン様、お荷物はこちらです」

「ありがとう、ルビナ」


 いつの間にか皇子の元から離れ、荷物を渡してくれるルビナ。

 有り難いけど皇子の前でルビナに従者のような真似をさせるのは心苦しい。

 昨日は全身着替えさせてもらったそうだから、今更と言えば今更だけど!

 ……あ、着替えと言えば。


「恐らく王国にすぐ旅立つ事になるだろうから、ルビナも着替えておくように」

「分かりました」


 寝巻姿のルビナに着替えを促す。

 竜皇様は気にしないだろうけど、王国では大変な事になる。見ないように背を向けて着替える。


『お待たせしました』

『では参りましょう』


 扉を開けると、広い廊下、そして玉座の大きな扉が見えてくる。

 玉座はこれが三回目か……。

 一度目は荊の首巻き状態。

 二度目は記憶を公開されて気絶。

 ……どうか今度は無事に出られますように!

商人上がりの騎士(元竜皇)と書くと、途端になろうっぽい!(ぽいだけ)


読了ありがとうございます。

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