第十八話 死を越えた先の幸い その二
胸をさする私に、師匠は嬉しそうに解説を続ける。
「ちなみに発動するまでは今まで通り普通の人間だ。しかしこれで君はめでたく竜皇の血族となった。竜皇国への出入りは自由となり、竜皇への謁見も自由に行える。大使としてこれ程有利な条件はないだろうねぇ」
「それは、そうですが……」
横で眠るルビナを見つめる。
ルビナに幻滅されている今、大使を引き受ける理由も無いんだけど。
と言うか、何でここにいてくれてるんだろう?
「あの、ル……、皇女様は何故ここに」
「あぁ、我が姪は君が倒れたと聞いたら血相を変えて駆けつけて、甲斐甲斐しく手当てをしていたよ。この人間用の寝台を街まで転移して買って来て、ね」
「え……」
え、この寝台、そういう事!?
確かに竜の寝床にしては小さいと思っていたけど!
「鎧を脱がせ、汗で濡れた身体を拭いて、服を着替えさせたのも我が姪だ。実に献身的な姿だったよ。街とを往復する為に転移魔法を連続で使ったのもあって、流石に疲れた様でね。君の容体が問題無いのを確認したつい先程、眠ってしまったよ」
……私の為にそこまでしてくれたのか。
私の記憶を見てあんなに怒っていたのに、ルビナは本当に優しい。
……それだけに幻滅された事が辛い。自業自得だけど。
「……ありがとうな、ルビナ」
「んぅ……」
身じろぎをするルビナ。
しまった、思わず頭撫でちゃった!
起きちゃう起きちゃう!
「る、ルビナ……」
「ふぇ……?」
頭を上げたルビナの目が私の目と合った。
「ディアン、様……!」
見る見る目が大きく見開かれていく!
こ、心の準備がまだ出来ていない!
怒るならなるべくお手柔らかに!
隠してた悪事全部ばれた子どもの心境。
読了ありがとうございます。