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第一話 小心騎士と竜の出会い その一

初投稿です。よろしくお願いいたします。

自分の読みたい内容を詰め込んだだけの駄文ですが、お暇つぶしになれば幸いです。

ちなみに全二十話で完結となります。


それでは第一話「小心騎士と竜の出会い」お楽しみください。

「……ふぅ、ようやく国境を越えたな」


 ため息と共に思わず独り言が漏れた。目の前で揺れる馬の耳がぴくりとこっちを向く。


 つっかれたあああぁぁぁ! 竜族怖い! 超怖い! 書簡を届けて返書を受け取るだけでめちゃくちゃ疲れた!

 何があったか知らないけど国全体が緊迫していて、こんな時期に下級種族が何しに来たって態度だし、高位の竜族は魔法で人の心を読むって聞いたから竜皇との謁見は生きた心地がしなかったし、竜皇国の領内にいる間、茨の首巻かけられてる気分だった!


 国の代表たる特使なのに、私みたいな商人上がりの下級騎士に話が来た時点で嫌な予感していたけど大方の予想通りだよ! 竜言語が使えて、竜に食われても大して困らないのが私だったんだ!

 あぁもうこんな事になるんだったら竜言語なんて教わらなきゃ良かった!


 ともあれ今は休みたい。飛ばせば夕方には町に着けるだろうけど、その前にどこかで……。

 馬上で地図を広げると、近くに村があるのを見つけた。行きには気が付かなった、森の中の寒村といった感じだが、むしろのんびりできそうだ。

 私は手綱を叩き、馬の足を速めた。





「あれ、珍しい。旅の方だか?」


 馬の足音に気付いた村人が、畑から顔を上げて声をかけてきた。私は軽く手を挙げて挨拶をする。


「あぁ。私は王国騎士のディアン・オブシだ。任務の帰りでな。一日休ませてもらえないか」

「騎士様だか! 大歓迎だ。何もねぇとこだけんど、ゆっくりしてってくだせぇ」


 気さくな応対にほっと胸を撫で下ろす。


「ありがとう。馬を休めたいのだが、どこか場所はあるか」

「馬小屋ならおらのところに空きがあるだ。案内するだよ」

「助かる」


 村人の案内に従って馬を進める。


「しっかし騎士様ってぇのは大変だぁ。こったら山奥まで旅するだからなぁ。一人で旅してて怪物なんかが出たらどうするだか?」

「ははは。怪物を恐れるようでは騎士は務まらないさ」

「はぁ~、さっすが騎士様だ。お強ぇんだな」


 そう言われると悪い気はしない。つい自慢の一つもしたくなる。


「まぁ私は竜に立ち向かった事もあるからな」


 私が胸を張ると、村人は目を丸くした。


「竜って何だ?」


 竜を知らないのか? 王都でなくても大きな街なら子どもでも知っているのに。


「その爪は岩をも砕き、その鱗は刃を弾き、その口は馬をも飲み込み、吐く炎は鋼鉄をも溶かす……。英雄の物語には必ずと言っていいほど名が残る、伝説級の怪物だ」


 芝居気たっぷりに話すと、村人は更に目を大きく開いた。本当に知らないようだ。


「ひぇ~おっかねぇ。そんな化けもんに立ち向かったことあるだか。騎士様すげぇだなぁ」

「ははは」


 前に立って向かい合えば立ち向かった事にはなる。膝笑ってたけどぎりぎり立ってたし嘘はついてない。


「まぁおかげで今は多少腕に覚えがある。休ませてもらう恩もある。村に怪物が出るなら退治するが、どうだ」


 腰に下げた剣を少し持ち上げてみせるが、村人はまさかと手を振る。


「こったら平和な村に大したもんは出ねぇだよ。せいぜい大蜥蜴おおとかげくらいなもんで」

「大蜥蜴、この辺りにはそんなものが出るのか」


 え、そんなのいるの!? 聞いた事ない! どんな怪物!? 調子に乗って言い過ぎた!?


「めったに出ねぇけど、出たら捕まえて尻尾さ切って食うだよ。村のご馳走ですだ」


 良かった。大した事はなさそうだ。村人の言葉にこっそりと胸を撫で下ろした。


「おらん家の馬小屋に一匹捕まえたのがいるだが、見ますだか?」

「うむ。後学のために見せてもらおうか」


 軽くなった胸のまま、私は村人の後について行った。

大蜥蜴おおとかげ……? 一体何竜なんだ……?


読了ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ディアン・オブシさんの小心っぷりがかわいらしく面白いです! セリフと心の声のギャップに注目しつつ今後の展開も楽しませていただきます! [一言] 初投稿作品拝読できて嬉しいです! 完結おめで…
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